一章 救世主
15話 広瀬理沙(5)
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反応しなかったこと、優の放った大きいESPエネルギーには反応したことから、一定量のESPエネルギーを有している本体レベルに反応するように追尾弾が設定されていると予測できる。そして、優は追尾条件を満たせば囮を作れることを発見した。ならば、イーグルは追尾条件を更に引き上げる事によって、デコイ弾を無力化することができるはずだ。しかし、イーグルの追尾攻撃はまたしても優の放ったデコイに向かっていく。
――イーグルは追尾条件の設定を変更できないのだ。
あるいは、条件の設定に時間がかかる。もしくは条件に上限があるかもしれない、とも考えられる。
それは何故だろうか。
優とイーグルの戦闘を眺めながら、考える。
奈々はそこに亡霊の本質があるような気がして、不意に底知れぬ恐怖を感じた。
ESPエネルギーには情報を付与できる。しかし、イーグルは情報を設定し直せない。付与した情報は変更を受け付けないのだろうか。
そこまで考えたところで、モニタの向こうで閃光が走った。
直後、イーグルが墜落していく。優がそれに迫る。両者が互いにESPエネルギーを放った。
イーグルの攻撃は虚空を貫き、優の攻撃がイーグルの胴体部を抉るように命中する。直後、断末魔のような叫び声が響いた。
イーグルの身体が洋上に墜落し。大きな水柱があがる。一拍遅れて、マップからイーグルの反応が消滅した。
「イーグル、ロストしました」
加奈が言う。
奈々は司令席に背中を預け、ふう、と小さく息をついた。それから頷いて、回収を命じる。
画面には、華に抱きつかれる優の姿があった。死人が出なかったのは、この二人が奮闘してくれたからだ。
安心して気を緩めたところで、タイミングを見計らったように通信が届いた。相手は上田中将だった。それを確認した奈々は不敵な笑みを浮かべた。
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