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Raison d'etre
一章 救世主
13話 広瀬理沙(3)
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舞に向けている。どうやら、イーグルから発射された光弾には追尾能力があるらしい。はじめて見る亡霊の力だった。
『……追い付かれる。回避行動は必要ない。速度をあげなさい』
 奈々の命令に従うように、舞の速度が格段に上昇する。しかし、追尾弾は尚も舞の後ろに食らいついて離れない。
『ダメっ! 振りきれない……!』
 舞の舞が光弾を振り切ろうと何度も旋回を繰り返すが、光弾は舞の後を正確に追尾し続ける。通信機から鋭い奈々の命令が走った。
『華、援護を! 光弾を吹き飛ばして!』
 命令を受けると同時に華は舞に向かって飛翔を始めた。しかし、すぐに奈々の命令を実行する事が困難である事に気づく。高速で舞を追尾する光弾を補足する前に、舞が被弾してしまう。
「司令、無理です! 補足できません!」
 華は震える声で報告した。一拍の間をおいて奈々の声が届く。
『舞! 引きつけてからESPエネルギーを全包囲に出力して、相手の攻撃を吹き飛ばしなさい』
 回避と迎撃が共に不可能と判断したらしく、通信機から防御命令が届いた。既に光弾は舞のすぐ近くまで迫っている。
「黒木さん!」
 華が叫んだ時、舞の体が光の渦に巻き込まれた。次いで、轟音と紫光が広がる。
 押し寄せるESPエネルギーの波に逆らい、華は爆心地目指して加速した。
 被弾した舞が緩やかに落下し始めるのが視界に映る。
「舞!」
 奈々が叫ぶ。華は更に加速して、落下する舞の腕を掴んだ。そのまま速度を落とすことなく、イーグルから距離を取る。
「黒木さん、しっかりして!」
 舞が焦点の合わない目で華を見る。衝撃で意識が定かではないらしい。
 華は舞の傷を慎重に調べた。服が焼け焦げ、背中に軽い火傷を負っているが、それ以外に目立つ外傷はない。上手くESPエネルギーを殺したようだった。
『篠原さん、黒木さんをつれて早く離れてください! 次が来ます!』
 詩織が警告を発すると同時に、轟音が大気を揺るがした。振り返ると、イーグルから新たに数発の光弾が発射されたところだった。射線上には第二小隊長の姫野雪の姿。
 雪は落ちついた様子で即座に小銃を構え、迫り来る光弾を狙って発砲する。しかし、高速で迫る光弾に当たる筈もなく、そのまま遥か遠方の白い雲へと吸い込まれていく。
 雪は光弾を撃ち落とす事を諦めたようで、すぐ回避行動に移った。光弾の群れから余分に距離を取って海面ギリギリまで下降していく。数瞬後、海面からいくつかの水柱があがった。どうやら今の光弾に追尾能力はなかったようだ。
『突撃します!』
 通信機から鋭い詩織の声が届く。振り返ると、詩織が亡霊に向かって加速したところだった。イーグルは雪に気を取られたままで、背後からの詩織の接近に気付いていない。脅威的な速
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