プロローグ
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薄暗い洞窟。そこに私は幽閉されていた。
両手両足は鎖でつながれており、魔力を消費しきった私では壊せない。
「う…」
もう何年もここで幽閉されていて言葉もろくに喋れもしない。魔剣ゆえに魔力がなければ何もできない。
そもそも魔力を提供する魔剣使いすらもいない。無様な姿だ。
(私も…ここまでかしらね…)
魔核も限界を超えている。生きているのが不思議なくらいだがもう持たないだろう。
死を覚悟した…その瞬間だった。
『ワールドエンド・焔神軻遇突智!』
爆発と共に洞窟の入り口が破壊される。砂埃が舞い、洞窟内部はさらに薄暗くなる。
が、すぐに払われ、一人の青年が私の前に姿を現した。
「お前が奏霆鴉か」
青年は手に持った魔剣を振り、私を縛った鎖を断ち切った。
バランスを崩した私を、青年は優しく抱きしめた。
「大分魔力をすり減らしたな…、流石は災禍の妖刀。原初の六魔剣や俺の魔剣たちよりもすごい力を持ってるな」
青年は私を抱き抱えると、洞窟から出た。
久々の太陽はまぶしく、思わず目を瞑ってしまうが、少しずつ目を開いて慣らす。
「我が王よ、お早いご帰還、お待ちしておりました」
青年に傅く一人の少女。彼女も青年の魔剣なのだろう。
「別に待ってなくていいって言ったろキング。ニルヴァ、なぜ止めなかった」
呼ばれると同時、キングと呼ばれた魔剣の隣に、水流と共に少女が現れた。
「罪火がちゃんと命令しないからでしょうが。アンタの言うことしか聞かないんだからねその子」
「口を慎めニルヴァーナ。我が王に向かってその様な口調は許されません」
「だー、喧嘩すんな阿呆ども」
『ギャッ!!』
魔剣二人に蹴りを入れ、歩を進め始める青年。わたしをどうするつもりなのだろうか。
「決まってるだろ。俺と契約しろ、奏霆鴉」
私の心を読んだかのように会話を始める青年。
「俺にはお前の力が必要なんだ。だから俺と契約してくれ、極黒刀奏霆鴉」
一瞬、首を横に振ろうとしようとした。
けど、できなかった。彼の真剣な目に、否定などさせる気のない目に。
「もう会話くらいならできるだろ。どうだ、俺の魔剣にならないか?」
「…ひとつだけ、いい?」
「どんな?」
歩を進める彼を見ながら、私は一つの問いをした。
「何があっても、貴方は私を裏切らないでくれる?何があっても…魔剣を、信じることができる?」
「…」
彼は難しい顔をしながら言う。
「お前も同じことを俺に問うんだな」
彼は笑いながら言う。
「誓うよ。俺は何があっても魔剣を裏切らないし、裏切るつもりも毛頭ない」
彼は私を立たせると
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