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ウィザード・トーナメント編 前編
「11」 その4
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るように閃光弾が落ちた。
敵は僅か一瞬に近い出来事で対応に間に合わなかった。
閃光弾が炸裂し、辺りが閃光に包まれる。
光が無くなり視界がある程度はっきりすると、霧の中で何かがぼんやりと浮かび上がっていた。


「クソが!珍妙なもん使いやがって!」

「警戒が足りてないんだよ!」


俺は自分の視界がまだ完全に回復しきらない内に相手に攻撃を仕掛ける。
まだ実体のはっきりしない相手にナイフを振るう。
護身用とは言え、この状況で防戦一方なのも良くない。
この一撃で相手にダメージを与えられれば今後の戦闘において有利に立ち回れるかも知れない。
しかし俺のナイフは空を切る。
その間に相手は霧の中に隠れてしまった。


(千載一遇のチャンスが....)


咄嗟に辺りを警戒しようとするが、まるで一瞬の出来事のように両腿に斬撃を食らう。
肉が削がれおびただしい血が足を伝うが、自分でも驚くほど痛みを感じなかった。
だがこれで動くことができなくなった。
正真正銘、的になったわけだ。

だが相手は分かっていなかった。
今の俺は恐らくアドレナリンの過剰分泌とかもあって、痛覚が麻痺している。
多少の無理どころか、後遺症も覚悟しなければならないような一手だとしても今の俺は実行できる。
斬撃を受けた足でも歩こうと思えば歩ける。

再び手に閃光弾を握り、敵が近付くのを待とうとする。
だが、防戦一方では(らち)が明かないと判断した俺はそろそろ攻めに出ることにした。

再び敵の足音が近付く。
そして間近で足音が聞こえた瞬間、俺はさっきまで立っていた場所から少しずれて、そこを狙った。
さっきの閃光弾の時に俺は相手は臨機応変に対応するのは苦手だと踏んだ。
それに、数撃受けて間合いも分かり始めてきた今なら敵の攻撃が当たるか否かの微妙な距離感をなんとなく判断できる。

ナイフのレンジでは足りないと判断して、武器を護身用ナイフから日本刀に変更する。
勢い良く振りかざすと確かにそこには誰かがいた。
相手は目をモノアイのようにギロッと動かし、日本刀が迫っているのを確認すると自身の獲物で日本刀の一撃を相殺する。
恐ろしいのは、そこから更に一撃を加えようと殺意を剥き出しにしてこちらに視線を向けていることだ。
俺は相手に次の一手を打たせないようにすぐに念の為召喚したままにしていた閃光弾を使う。

この戦い方の悪いところと言えば、結局のところ霧の中で相手の場所を特定することを俺が諦めてることだ。
閃光弾を使えば、確かに敵の視界を瞬間的に妨げるが、同時に俺の視界もリセットされる。
焦点が定まる頃には既に相手は雲隠れしている。
いや、今回に関しては霧隠れだけど。












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