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最低で最高なクズ
ウィザード・トーナメント編 前編
「11」 その4
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だが、それでも敵を狙って撃つから何発かは当たる可能性がある、そもそも敵が見えていない状況だと狙いすら定まらない。
まず当たるはずもないだろう。
俺はひとまず護身用でナイフを召喚した。


「ハハハハハッそんな獲物で俺に対応できんのか?」

(野郎は霧の中でも俺が見えてるのか。まぁ、相手が召喚したフィールドだからどんなハンデがあってもおかしい話じゃないけどさ。)


恐らく敵のスペックを考えれば俺よりは上。
多分、素で戦ってもギリギリ俺が負けるくらい。
その上、今は敵が有利な状況を作り上げている。
状況的に既に負けが分かっているなら、あとはどれだけ長く相手を前にして保っていられるかだ。


(でも相手には霧の効果はないんだろ...長く保たせるのもかなりキツイかもな。)

「ボーッとしてんなよ!」


視界にナイフの光を捉え、対応しようと思った時には既に斬られていた。
しかも傷が異常に深く、何発も食らえないと判断した。
多分、10撃耐えられるかどうか。
だが、分析している内にさっきの攻撃の方向を忘れた。
次にどこから来るのかそれすらはっきりしていない。


(チッ.....どうする。)

「おいおい、止まってるだけじゃあ切り刻まれるだけだぜ。もっと踊って見せてみなよ。」


声はフィールド全体に共鳴して聞こえる。
そのおかげで声で位置を特定することもできない。
いよいよどう対応すべきか分からなくなってきた。


『壁作って攻撃の方向を絞るか.....いや、俺の退路まで塞いじまったら不味いからパスだ。』


俺は上に登れば霧の濃さの差で相手が見えないかと思い、道幅が狭いことを利用してパルクールのように壁面を登る。
だが下を見下ろしても道すらぼんやりとしか見えない。
敵の姿なんて余程のことがなければ見えないだろう。
この霧が晴れるだけで手はいくらでも打てる。
そう霧が晴れれば。


「おいおい、上に登って(まと)にでもなるつもりか?」


確かに今の俺の状況は敵からすれば的だ。
まぁ下に降りても何も変わらないわけだが。
すると、壁面に獣の鋭い爪で抉られたかのような痕跡が現れ、急激に壁に張り付く俺に迫る。
俺はすぐに壁から離れ着地した。
不意に脳裏に1つの謎が浮かぶ。


(相手の視界を奪えばそれなりに戦えないか?)


そこで俺は1つ思い付いた。
俺がある物を召喚したのとほぼ同時に相手も攻撃を仕掛けて来る。
タッタッタッタッと足音が近付いて来る。
その音は背後から迫っている。
どうやら足音は反響して聞こえないようだ。


(攻撃が単調で舐め過ぎなんだよ。)


俺は足音の方向を振り返りニヤッと笑う。
俺の手からこぼれ落ち
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