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フルメタル・アクションヒーローズ
第147話 迫り来る終末
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。そんな俺の疑問を押しのけるように、母さんは俺の名前の由来を語る。

 そんな話は初めて聞いたが――まさか、兄貴にそんな経緯があったなんてな。照れるように頭を掻きむしる一方で、決して否定はしていない兄貴の様子を見るに、事実には違いないようだ。

 しかし、俺の名前がそんな経緯で付けられていたとはな……。今のままじゃ、名前負けになりかねないじゃないか。拳法に頼らないどころか、その修練に傾倒しなけりゃ、死にかねない世界に居るのだから。

「だからね、ママは太ぁちゃんに『拳法の力を必要とさせた』あなたのことは、どうかなーって思うの。今後もあなたに関わり過ぎたら、太ぁちゃんを危険に晒すことになる、というならなおさらね」
「……」

 救芽井に関わり、着鎧甲冑を使った活動を続けていく。どうやらそれは、俺に付けられた名前の意義を否定することになってしまうらしい。少なくとも、母さんはそう主張している。

 ――だが、俺はそうは思わない。俺が目指しているレスキューヒーロー……いや、「怪物」は、そんな戦うばかりの在り方ではないからだ。
 目の前に転がってる命を拾うため。それこそが俺の本懐であり、着鎧甲冑の存在意義だったはず。戦いなんてものは、脅威を跳ね退けるためのオマケでしかないのだ。
 確かに拳法に頼らなくちゃ、死ぬような状況にもなったが……俺は、戦うことだけの「怪物」を目指した覚えはない。まだ、名前負けには成り切っちゃいないはずだ。

 そんな俺の心境を知ってか知らずか、母さんはさらに言葉を紡ごうと口を開く。だが、そこから飛び出てきたのは――

「だけど、『助けに行くための力で、助けられる人間を助ける』……。本当にそういうお仕事なのなら。『戦う』ことより『助ける』ためのお仕事なのなら……ママも、少しだけ考えてあげようかな」
「えっ……!」
「今のままじゃ、名前の通りにもならないしね。もし本当に太ぁちゃんを、拳法だけじゃない逞しさのある子にできる、というのなら……『お友達』から『親友』にランクアップさせてもいいかしら」

 ――俺が警戒していたような内容では、なかった。むしろ、俺の思いに通じるものが感じられる。

 救芽井の熱意に動かされたのか……表情が変わらないままではあるものの、口調の方にはかなりの「優しさ」が戻ってきていた。

 そして、そんな母さんの様子の変化を前にして――救芽井は心の芯から救われたかのように、その麗顔を目一杯輝かせる。

「お任せ下さい、お義母様ッ! 必ず龍太君を、名前の通りの素晴らしい『ヒーロー』に育てて見せますッ! 私自身の全身全霊を込めてッ!」

 希望に満ちた瞳で、母さんを見つめる救芽井。その姿からは、さっきまでの沈んだ様子とは掛け離れた「生気」が放たれていた。
 そして、彼女を見
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