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フルメタル・アクションヒーローズ
第143話 大団円、と思いきや
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てしまってから、俺は少し後悔した。
 人命救助のためだけに造られた「着鎧甲冑」を手掛け、命懸けでレスキューヒーローとしても活動していた救芽井。そんな彼女にとって、自分が助けた人間が「正当に」殺される事実は、どのように重いのだろう。その胸中は、察するにあまりある。

 自分のエゴでそんなことをさせておきながら、俺は何を言っているのだろう。

「悪い、俺のせいなのに」
「ううん。私も、彼をお父様のやり方で死なせたくはなかったの。例え死ぬべき人間だとしても、私達がそれを決められるほど、『命』は簡単じゃないって思ってたから」
「救芽井……」
「だけど、怖かった。お父様に逆らうみたいで、強く言い出せないままだったの。あなたが、瀧上さんを連れて来てくれるまで。あなたが、『正しさ』を捨てて『命』を選んでくれたから、私も戦えた」

 ――それは、救芽井エレクトロニクス興隆のため、第一線で戦い続けていた彼女だからこそ出せる答えなのだろうか。
 どうやら、レスキューヒーローとしての矜持ってのは、拗らせると正義感を歪めてしまうらしい。

「……今さらこんなこと、言えた義理じゃないけど。ありがとう。私の願い、捨てずにいてくれて。約束、守ってくれて」

 左目の傷痕をいたわるように、彼女の白く柔らかい掌が、俺の顔を撫でる。その表情は、感謝と自責と悲哀がないまぜになっており、美しくも痛ましい。
 決して無事とは言えない有様だが、こうして生きて傍にいられるなら、約束を破ったことにはならない……と、思いたいな。

「それにしても……あぁ、龍太様のお顔がこんなにも傷付いて……。そうまでして、あなた様はなぜ瀧上凱樹を? ワタクシもお兄様も、あなた様の判断を尊重はしましたが――正直なところ、理解に苦しみますわ」

 すると、救芽井に次いで久水が口を開いた。だが、その口調は責め立てるように鋭く、普段の彼女とはどこか違う真剣さが感じられる。

「……そうだろうな。俺もおかしな話だとは思ってる。それでも、間違いだって言いたくはないんだ。普通の神経のままじゃ、助けられるかも知れない人まで死んじまう」
「そのためなら、ご自分がいくら傷付いても構わない――とでも? 自己犠牲の精神と言えば綺麗なようにも聞こえますが、それは無益な自己満足と紙一重の存在ですわ。そのようなリスクの高すぎる理想のために、あなた様を失うことなど、ワタクシは絶対に許しません」
「ひ、久水さんッ!」
「今回は鮎子を救って頂いたことに報いるため、あなた様の意向を尊重するべく中立の立場に立ちましたが、今後このようなことが起きれば……その時は、あなた様の理想を否定させて頂きますわ。何よりも、あなた様の『命』のために」

 彼女は俺の意思を強く否定し、「自己満足と紙一重」と厳しく断じる。救芽井
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