暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第116話 願いの叶え人
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「……む、むぐぉ〜! ふんぐぅぅあ〜……!」

 (尻から)行くべき場所へと降り立った、俺の勇姿に対する反応は様々。

「龍太君……大丈夫?」
「さすが龍太様! 敢えて尻から着地してダメージを被り、ハンデを背負われるとは! そこに痺れる! 憧れ――」
「いや明らかに足滑らせとったやろッ!?」
「……やっぱり逃げた方が……」
「尻の筋肉は強靭であり、一度緊張すると緩みにくい。そこを敢えて硬化させ、ダメージを軽減したというのか……! そこに気が付くとは、奴はやはりある種の天才……!?」

 ――いやどう見ても超痛がってんだろーが! 固める前に激突してんだよこっちは! 畜生、ここに来て思わぬアクシデントだッ……!

 しかも伊葉さんとかめっちゃ冷めた視線で見てるし。所長さんに至っては目も合わせてくれないよ!?

「……」

 一方、瀧上さんは呆れる様子も怒る様子も見せず、ただ腕を組んで静かに俺を待ち続けている。俺のズッコケで空気がブッ壊れている中、彼だけは何一つ変わっていなかった。

 ――さすがじゃないか。この程度のハプニング、どうってことないってか? ようし、俺も寝てばかりじゃいられないなッ……!

「……そ、その鉄兜の中で、どんな顔してるのかは知らないが……俺をバカにしていられるのは、今のうちだってことを見せてやるぜッ……!」

 俺は両手で尻を押さえながらも内股で立ち上がり、そのままチョコチョコと蟹歩きの要領で、瀧上さんの待つアリーナの中央へ向かう。想像を絶するほどマヌケな格好ではあるが、こうでもしなければ前に進めないのだから仕方ない。

 ――だってまだ痛み引いてないんだもん。

 そんな俺の動きが見ていられないのか、後ろから救芽井と矢村のため息が聞こえて来る。なんでだよ! 心配してよ! 腰の骨折れるかと思ったんだよ!?

「お兄様! あれはもしや!?」
「うむ。まさかこの目で見ることになるとは思わなかったが……あれこそ中国に伝わりし『酔拳』のプレリュードなのだッ!」
「……もはや公開処刑……」

 久水兄妹は久水兄妹で、なんか変な方向性に納得して相槌打ってるし。四郷は以前の冷ややかな目線に戻ってるし。……ああもう、最終戦のムードじゃないだろコレはッ!

 ――そうやって思考を巡らせながら歩いていれば、時間も短く感じられるものらしい。気がつけば、俺はもう瀧上さんの目前にたどり着いていた。

「うおっ……!?」
「ようやく来たな。オレの目の前に来た以上、挑戦への答えは聞くまでもなさそうだが」

 ……こうして見ると、やはりデカイ。「新人類の身体」形態になった時から、体格が格段に大きくなっていたことは解っていたつもりでいたけど……近くに立ってみると、その桁違いのサイズってものを改め
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ