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フルメタル・アクションヒーローズ
第96話 逡巡と懺悔と後悔と
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 肉の焼ける音と共に、夜空以上に暗い煙りが天に向かい、その副産物たる香りが俺達の嗅覚をくすぐってくる。

 そして、先行きの不安な道を照らすように閃く、闇夜に浮かぶ星々を見上げながら、肉と野菜の味を噛み締める。
 決戦前夜のバーベキューとして、これ以上のシチュエーションはそうそうないだろう。

 ――にも関わらず、内心では、それほど盛り上がっていない俺がいる。周りが金網の奥で噴き上がる火を囲み、和気藹々と過ごしているというのに、俺の胸中はどこか穏やかではない。

 別にバーベキューが楽しくないわけではないし、俺も一緒になって騒いでいるのには違いない。ただ、心の奥底で燻っているもやもやが、収まらない……というだけだ。

 そして、それが始まったのは――

「……」
「龍太? ……どしたんや? 瀧上さんのことばっか見よるみたいやけど……」
「ん? ――いやまぁ、あの人なかなかこっちに来ないなー……ってさ」

 ――彼が放つ殺気を肌に感じた、あの瞬間からだった。

 その感覚を俺に植え付けた張本人は今、心ここに在らず、といった表情で海辺に佇み、ここではない何処かを静かに見つめている。
 俺達の輪の中から大きくはずれた場所に立つその姿は、まるで別世界の人間であるかのような異質さを放っていた。その手に握られている串の存在が、どうしようもなく不自然なくらいに。

 ――彼が伊葉さんの背へと突き刺していた、あの眼光。人間があんな威圧を出せるのか――と、おののいてしまうほど、瀧上さんの放っていた殺気というものは、どこか違う次元の存在のようにすら感じられた。
 一瞬でも気を抜けば……いや、気を抜こうが抜くまいが、あの眼に見据えられたら、たちまちあの気迫に呑まれてしまうことだろう。俺の精神など、何秒「持つ」のだろうか。

「瀧上さん? あ、確かに全然こっちで食べとらんなぁ――って、まさか龍太ッ!? あんた、あんたまさかっ……!?」
「なんで意地でもそっちへ繋げようとすんの!?」

 ……まぁ、そんなことを今考えたところで、意味はないんだけどな。それに、辛気臭い面でバーベキューだなんてバチが当たるにも程がある。
 それに、串に刺さった肉と野菜を食ってる以上、あんな調子でもバーベキューに参加している意識はあるのだろう。お代わりを貰いに来た時にでも言葉を交わせば、四郷のように上手く行くかも知れない。

 そんな淡い期待を言い訳にして、俺は彼の存在を頭から離すかのように、救芽井達の輪の中へと帰還する。

「……さて。おっ、これ肉でかいじゃん! いっただきぃっ!」
「龍太君ダメよ! ちゃんと野菜も食べないと、食物繊維が不足しちゃう!」
「そうざます! 明日は大切な日なのですから、体調管理にも気を遣って下さいまし!」
「何
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