暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第90話 森の中の変態
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ちゃん、欲する男性の全てを知りたければ、自分が何をするべきか……わかるわね?」
「くっ――い、いいざます! 龍太様の全てを手にするその日まで、ワタクシは闘い続けますわ! さァ、立つのですお兄様! 第二ラウンドの始まりですのよッ!」

 い、いかん。これ以上彼女達を放置したら、俺の社会的生命が十七年目に幕を降ろしてしまうッ! なんか二人とも所長さんの無修正商法に乗っかりそうな雰囲気だし! ここは面と向かって俺が否定しなくては――!

 ガサッ!

「んっ?」

 ――なんだ? 今、後ろで何か音がしたような……?
 風の流れによる、草木の囁きとは違う。明らかに、何かの力で掻き分けられた音。

 その違和感を聞き付けた瞬間、俺は「違和感」という手に背中を撫でられたような感触を覚え、咄嗟に振り返った。
 四郷も同じ何かを感じたらしく、俺と全く同じリアクションを展開している。

 そして見えたのは――人影だった。

 だが、ハッキリとしたシルエットまでは判明しなかった。ビーチの後ろは小さな林になっていて、四郷が言うには、緑を楽しむには丁度いいくらいのスポットになっているらしい。
 しかし入り口だけはかなり木々や長い草が生い茂っていて、覗き込むのも一苦労なんだとか。そんなところに、一体誰が……?

 瀧上さんか伊葉さん? いや、あの二人は俺がロビーに行く前に誘った時、留守番するって言ってたし……。

「……年齢は三十代後半くらい。体格は凄いけど、凱樹さんにも伊葉さんにも合致しない……」

 すると、隣の四郷が丁寧に目撃情報を提示してくれた。どうやら、二人じゃないってのは違いないらしい。
 しかし彼女は、洞察力も並外れたモノをお持ちみたいだな。振り返ろうとしたタイミングは俺より一拍遅かったのに、俺よりも対象をしっかり見ていらっしゃる。これが「新人類の身体」の賜物なのか、彼女自身の能力なのかは測りかねるが。

「……それに、どこかの作業着みたいな格好だった。あと、何かのイニシャルみたいなのも……」
「えっ……?」

 ――三十代後半、凄い体格、作業着みたいな服、そして「何かのイニシャル」……?

 ……まさか……?

「……ちょっと様子を見てくる。四郷はここにいて」

 俺は右腕に「腕輪型着鎧装置」をセットし、パラソルから外へと飛び出す。相変わらず厳しい陽射しに背中から照り付けられ、刺すような暑さが全身を襲う。
 四郷もある程度察しが付いているのか、俺の行動には特にリアクションは見せず、ただ無言で頷くのみだった。

 そして、こっちの身長に届きそうなくらいの高さがある草を掻き分け、俺はその奥へと突入していった。

 ――そよ風が奏でる、心地好い木々の囁き。地面の上で揺れる、緑の絨毯。
 ビー
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