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僕は生き残りのドラゴンに嘘をついた
番外編
二人で迎える、初めての新年(2018年お正月番外編)
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一匹しかいない現在では、あまり正確な表現ではなくなっているのかもしれない。だがその言葉からは何となく優しさがにじみ出ている気がして、ソラトは聞くたびに不思議と温かい気持ちになった。

「熊はおいしいの? たまに食べてるよね」
「あれはおいしい」
「ふふふ。鹿は?」
「一番好きだ」
「ふふふふふ。そうなんだ。じゃあ……あ、そうだ。人間は? ドラゴンにとっておいしかったの?」

 味の好みをしゃべるデュラを見るのが楽しくなって、ソラトはつい調子に乗って聞いてしまった。過去を責める意味などは微塵もなかったのだが、言ってから少し意地悪な質問だったかもしれないと思った。
 滑らせてしまった口を慌てて引っ張って戻す。

「あっ、これは別に嫌味とかそんなんじゃないよ? 答えたくなかったら答えなくていいからね!」

 だが、言われた本人は気にはしていないようだった。

「私は食べたことがなかったから知らないが、同胞の話では――」
「えっ? デュラは人間食べたことないんだ? 意外!」

 思わず途中で遮ってしまった。

「意外か? ドラゴンはそもそも人間を食べない生き物だ」
「へええー……」

 今までドラゴンに殺された人間は全員食われてしまったものと思っていたソラトには、それは驚くべき事実だった。
 しかし。

「いま『私は』って言ったよね。食べたことがあるお仲間さんもいたってこと?」
「ああ。同胞で食べた者は……いや、正確には食べようとした者はいた」
「どういうこと?」
「我々に滅ぼされた人間の町があるのは知っているな?」
「うん。降伏を拒んで一人残らず殺された町があるって、聞いたことあるよ」

「人間の町を襲撃したのはあれが初めてだったが……我々は殺した人間を全部食べるつもりだった」
「なんで? 普段は食べないんでしょ」
「我々なりの敬意、といったら信じるか?」
「デュラ言うことは何でも信じるよ」
「……」

 これまたソラトだけがわかる表情。そして首がスッと動いて。
 ペロリ。

「うはは。まだ話が途中でしょ」

 微妙な酒臭さは別に気にはならない。ただし顔を舐められるのはくすぐったい。身をよじってしまう。
 話の続きをどうぞということで、デュラの頬をポンと軽く叩く。

「……まあ、食べればその肉が我々の体の一部となって残るからだ。そうでなければただ殺しただけだ」
「なるほど」
「しかし、結局食べることはできなかった。とても食べられる味ではなかったそうだ」

 デュラが上から差し込む光に目を向けた。

「もしかしたら、その時点で我々の運命も決まったのかもしれない。食べ物にならぬものを大量に殺した時点でな。この世界で、食べるため生きるため以外に、わざわざ無意味な殺しを
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