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普通だった少年の憑依&転移転生物語
【ハリー・ポッター】編
225 露見された帝王
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グッ、オォォォォォォォ…っ!」

そしてボクの時と同じ様に、ヴォルデモートの杖が激しく揺れる。今度はヴォルデモート声が上がり、光の球は最初の様に中間地点で落ち着いた。

……その時だ、不思議な事が起こったのは。

(……っ…! ……?)

糸を切らない様に歯を食いしばっていると、鳥の(さえず)り──否、もっと綺麗な──旋律が聞こえてきた様な気がした。

その旋律は前奏曲(プレリュード)の様なものだったらしく、不思議な事はまだまだ起こる。

その次は赤≠ニ緑≠セった糸≠ェ金≠ノなり幾条にも──それこそ数え切れないほどの数にまで分かれて、芯≠ニ云うべき繋がっている一本を残しボクとヴォルデモートを囲む様にドームの様なものを作っていく。

一番奇っ怪だったのはそれ以降に起こったことだと云える。……ヴォルデモートの杖から、全く知らない人物が出てきたのだ。そして更にその次にナゾの手の様なものが吹き出して、それを皮切りに様々な人物がヴォルデモートの杖から涌いて出てくる。

……ナゾの手が出てきた時、一瞬マドハンドに見えたのは内緒だ。

閑話休題。

一昨年の夏、ブラック邸で見た夢に出てきた老人。次にボクの記憶が正しいのならバーサ・ジョーキンズ。

(……っ、もしかして…)

そこで一つの仮説が出来た。

……ここまで、ナゾの手を除きヴォルデモートが(あや)めたと思われる人物達がヴォルデモートの杖から出てきている。……ヴォルデモートはここ十数年間、上記の二人しか人を殺していなかったのだとしたら、次にはボクを殺し損ねた時に殺した二人≠ェ出てくるのではなかろうか──と。

その仮説が正しかったことを、ヴォルデモートの杖から出てきた人物が、ボクと鏡写しの女性であるリリー・ポッター──母さんが立証してくれた。

「もうすぐ、お父さんが来るわ」

母さんのゴースト、とでも云えばいいのだろうか? ……彼女が言った様にヴォルデモートの杖からもう一人出て来る。癖っ毛で黒髪の男性だった。写真と変わらない出で立ちの父さん──ジェームズ・ポッターだ。

「……もうすぐ増援が来る。それまで堪えるんだ──大丈夫。アニーなら出来るさ」

「ジェームズ…っ、君なのか!?」

「やぁ、≪パッドフット≫」

「私もアニーに加勢するっ!」

ヴォルデモートに聞こえない様にしたのだろう──小声で囁く父さんの言葉に頷く前に何時の間にか来ていたシリウスの声がアトリウムに響く。シリウスはボクに加勢しようとしてくれたのか杖をヴォルデモートに向けるがそれを父さんが(いさ)める。

「待つんだ、今アニーがヴォルデモートと拮抗出来ているのは奇跡にも等しい状況だ」
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