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フルメタル・アクションヒーローズ
第25話 敵のボスには得てして事情があるもの
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お!?」

 と思ってたら、いきなりドアぶっ叩きやがった!? 思わずビビって腰が引けちまった。情けねぇ……。

「彼らは兵器転用の一切を許さず、あくまで人を救うためにのみ、着鎧甲冑の技術を運用すると決めてしまったのだ。僕の忠告を聞き入れないまま! なぜだ!? なぜわかってくれない!? 戦争に使われず、その能力を示す機会を失ったままでは、着鎧甲冑の素晴らしき技術は世に出ることがなくなってしまうというのに! それでは、救芽井家が築き上げてきたものが、水の泡になってしまうというのに!」

 お、おおぉ……なんか一人で勝手に熱くなってやがるな。意外におしゃべりなのか? コイツ。

「ま、待てよ。兵器にならなきゃ、着鎧甲冑の技術は進歩しねぇって言いたいのか?」
「……その通りだ。現に今の救芽井家では、試作機として『救済の先駆者』が一体作られているに過ぎない。新たな後継機を開発するには資金が足りないし、十分なデータも取れない。だから兵器転用して、積極的に世界中の紛争地帯に売り込めば、資金もデータも貯まって開発を進めることができるだろう。着鎧甲冑の技術はいずれ世界を変え、救芽井家の理想はより現実に近しいものとなる」
「難しいことはわかんねーけど、要するに金がないから稼ぐために兵器にしろよ、って話なんだな。だけど、やっぱりそれはダメだろうよ。理想だか現実だか知らねーが、人助けしたくて作ったスーツで人殺してたら本末転倒だ」
「……そうだね。だけど、そう言っていられる時間にも限界がある。僕は早いうちに、『技術力向上のため』に兵器として改修する案を幾度となく出したさ。このままでは着鎧甲冑の素晴らしさが、日の出を見ないまま朽ち果ててしまう。そんな結末だけは、僕が尊敬していた救芽井家のためにも避けたかったんだ。でも、彼らは一歩も譲らないまま、本来の使い道を尊重するやり方で開発を断行した。やがて、僕はクビになったよ。『君はここにいるべきじゃない』ってね」

 ……あれま、なんだかしんみりした話になってきたなぁ。古我知さんは古我知さんで、救芽井家を心配してたってことなのか。

「僕は、それが堪えきれなかった。僕が尊敬し、誰よりも讃えたい一家が、自分達の夢に溺れて実現を遠退けてしまうことが。だから、僕は彼らを排除してでも、彼らが生み出していったものを形にしたかった。歴史に名を残すような素晴らしい発明品に、したかったんだ」
「……それで、『技術の解放を望む者達』、か」
「そうさ。僕は確かに悪かもしれない。それでも、そう蔑まれてでも、成し遂げなければならないことがあるんだ」

「成し遂げなければ、ならない――ねぇ。バカじゃねぇか」

 思わず口をついて出た俺の台詞に、古我知さんが目を丸くする。事情を話せば、赤の他人に過ぎない俺を説得して、味方に付けられ
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