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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
シーホーク騒乱 2
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 フェジテからシーホーク間の移動には専用の駅馬車――都市間移動用の大型箱型馬車が使われており、街道の一定区画ごとに設けられたステージと呼ばれる各停車駅で馬を取り替えるついでに休憩を入れて街道を進み続ける。
 早朝に出発すれば翌日の正午には到達できる計算だ。
 これは乗り心地を優先してゆっくり進んだ場合で、揺れるのを承知で急行馬車をもちいればもっと早く到達できる。
 ウェンディはナーブレス家が所有する馬車を二台用意し、一台にはウェンディとミーアが、もう一台には秋芳が乗ることになった。
 護衛の必要はない。主要街道周辺は衛兵らが定期的に巡回や整備をおこなっており、治安が良いのだ。
 道中なにもすることのない秋芳は持参した初等レベルの呪文書をなんども読み返して内容を頭に叩き込む。
 武術の心得があるとはいえ、呪術が使えないのはなんとも心もとないし、不便だ。こちらの世界の魔術を少しでも多く習得したかった。

「この奉神戦争てやつは酷いなぁ」

 呪文書以外にも歴史関係の本にも目を通していてそのような感想を抱いた。
 帝国政府は魔術師を諸外国に対する潜在的な戦力と考えており、有事の際には学院の生徒ら魔術師の卵たちですら戦力として導入することも視野に入れている。
 実際にそうなった例は少ないが、四〇年前の奉神戦争では戦争の末期に魔術学院から有志の学徒出陣があり、そのおかげで辛うじて勝利を拾えたとも伝わっている。

「学徒を動員するほど追い込まれての勝利……。たがいに総力戦だったんだろうな。しかし有志を募って、なんて書いてあるが、どこまで正確かわからんし、どんなあつかいを受けたのかも書いてない。動員された学生らを肉壁にされている間に後方を整えて……、とかそんな使われかたをされたりしたのかなぁ。ソ連みたいに銃はふたりに一丁とか、そういうレベルで……」
「アキヨシ」
「よく『入隊の日にコップ一杯の醤油を飲んでいけば検査で引っかかって家に帰される』なんて徴兵逃れの話を聞くが、これは誤りで、入隊じゃなくて入営。しかも当日にそんなことしても手遅れだし、コップ一杯ならやろうと思うとだれでもできる。正確には徴兵検査当日に醤油を一升飲むと死人同然の顔色になって兵隊に取られずにすむ。が正しいんだよな。もっともこれは都市伝説で、そんな詐術はすぐに見破られて厳罰にされたそうだが」
「アキヨシ!」
「あらかじめ条件起動式か時間差起動(ディレイ・ブート)に病気治療(キュア・ディジーズ)を組み込ませておいてから、めっちゃ重い病気に罹って検査を受ければ――」
「カモ・アキヨシ!」
「しかし解せんな、この魔導兵団戦とやら。火や雷の魔術を使うだけで馬は恐慌状態になり騎兵は機能しなくなる。隊を組んでの弓兵や銃兵の一斉掃射も対抗呪文で防がれる。重装歩兵を並べての密
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