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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 3
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る速さの単位を表すマッハの語源になったという。

 民明書房刊『実用動物事典』より。



「俺達は距離をおいて見ているから琥珀の一連の動きを視えているようにとらえているが、間近で戦う紅葉には琥珀の攻撃はほとんど見えていないだろう」
「そんな……、じゃあそんなに速い、見えない攻撃をどうやってかわせばいいの?」
「見鬼のレベルが高ければ相手の霊気の流れを見て、身体の動きを先読みすることも可能だが……。今の紅葉にはそこまでの実力はないな」
「じゃあ紅葉さんは……?」
「十中八九勝てないだろう」
「えええ!?」

 身体能力や霊的能力の差にくわえ、技量の差も歴然だった。
 突けば槍、払えば薙刀、持たば太刀。琥珀は竿状武器、ポールウェポンの特性をぞんぶんに活用し、つねに自分の間合いで戦っている。
 変幻自在に姿を変える、まさに薙刀の結界。結界に捕われた紅葉は手も足もでない。

「強さとは経験の差、経験とは努力の積み重ね。あの琥珀という子の四王天家は著名な巫女を数多く輩出する名門中の名門。おそらく陰陽寮に入る以前から名門ゆえの英才教育を受けて育ってきたのだろう。それゆえ琥珀は強い。修行の量も質もまるでちがう」
「……紅葉さんだってあんなにがんばったのに」
「彼女ががんばったように、相手もがんばっているんだ。努力の積み重ねをひっくり返してしまうほどの天稟なんて存在しない。だがそれでも、あきらめたらそこで試合終了だ。絶対に勝つ気で挑めば万にひとつの勝機を得られることもある」
 琥珀の薙刀が紅葉の薙刀を跳ね上げ、返す刀で袈裟懸けに斬り下す。
 鈍い音が響き、膝からくずれ落ちた。
 勝負あり。琥珀の勝ち、紅葉の負けだ。

「二之宮紅葉、わかったでしょう。絆だの友情だのが悪いとは言わないわ。でもあなた達のやっていることは四王天家を守る者にとってはごっこ遊びみたいなものよ。それだけではこの四王天琥珀、ひいては壱番隊に迫ることなどできないわ、精進することね」

 紅葉は負けた悔しさと傷の痛みで涙があふれそうになるのを必死でこらえつつ、無言で舞台から降りた。

「さぁ、次はだれかしら」
「私がまいりますわ!」
「珊瑚さん!?」
「紅葉さんの無念、この三亥珊瑚が晴らします!」

 紅葉と入れ替わりに珊瑚が舞台に上がり、薙刀をかまえる。二戦目の開始だ。

「眼鏡ははずしたほうがいいわよ、三亥珊瑚」
「あら、それは私を過少評価してるのかしら、それとも自分を過大評価しているの? 心配しなくてもあなたには一撃たりとも入れさせません」
「ふふん、今の戦いを見てよくそんな大口が叩けるわね。後で悔やんでも知らないわよ」

 試合開始と同時に珊瑚の手がひるがえり、水行符を放った。水気がほとばしる。

「巫女クラス一の呪術
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