暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
コラボ
〜Cross over〜
Destruction;崩壊
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に伸ばされた左腕。ニコの高速の飛び膝蹴りを受けることによって強制的に加速された肘が、上段から腕剣を振り下ろすために無防備になったロータスの胸部装甲へ向かっていくのだ。

―――クソッタレ!野郎、完全な無傷は無理だと思って腕を捨てやがった!

これまでの戦闘も合わせてだが、皮装備や布系装備を中心にした見た目的にも《レンホウ》の防御力はそう高くない。いくらニコの速さも相乗したとはいえ、盾系の強化外装を除けばデュエルアバターで一番ダメージの通り難い――――すなわち一番硬い装甲である胸部装甲と激突すれば、彼の肘もただではすまないだろう。下手すれば千切れ飛び、部位欠損ダメージも視野に入る。

だが、この挟撃を防ぎきるのは不可能と断じ、最尤の手を躊躇いなく切った。

「っそ!」

ゴドン!!という凄絶な音が響き、ロータスの胸部装甲が大きく凹み、ダメージ判定であるパーティクルが弾ける。だが同時に、少年の着る厚手のコートの肘部分から鈍い音が響き、視界右上の体力ゲージが猛烈な勢いで減り始めるのが分かる。

少年の表情に壮絶なものが走り、それを塗り潰すような爛れた笑みが広がった。

ずっと浮かべていた、余裕のある薄ら笑いではない。本当に本格的に、眼前の少年の底を表すような猟奇的で酷薄な哄笑。

戦闘狂(バーサーカー)の嗤い。

それに理性的な恐怖を覚えるより先に、本能的な危機感が炙り出され、咄嗟にロータスを回収する方向に身体が動き始める。

だが遅かった。

ゆらり、と。

眼にもわかるような形で、相手のアバターが変わっていく。一見すると何も変化はないように思える。だが、その中身で何か決定的な――――歯車が噛み合ったような、妙に腑に落ちるような感覚だけが残る。

真っ赤に染まる両眼から閃光のように残光を引きながら、動き出す。

その動きは、一時的とはいえ心意技で近い速度域に立っているニコからはコマ送りのように見えた。陸上選手のような力強い走り出しとは違う。むしろ脱力し、重力に任せて落下するような前挙動。その糸の切れた人形のような動きに、何もかも先手を取っているはずの状況ですら不安を掻き立てられる。

一歩。

顔が地面へ着く直前、破城槌のような脚の一歩目がタイル張りとなった校庭を踏み割り、走り出しの距離の一切を叩き潰した。

一瞬で肉薄される……!と思った時には、ころん、と綺麗に転がされていた。

軽く足を引っかけられただけ。

だが、たったそれだけにもかかわらず少女の顔色が変わったのには訳がある。人の歩行速度とF1の怪物マシンの速度の違いを思い浮かべたらわかりやすい。ただ転んだにしても、その速度次第ではただのアスファルトでも凶器になることがあるのだ。

今回は初速でスピードが乗っていなかったことも
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