暁 〜小説投稿サイト〜
奇妙な暗殺教室
旅館の時間
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人は心の平穏を望まずにはいられない生き物だ。理由は単純明解で、人は生きている以上疲れて摩耗してしまうからだ。全力疾走で永遠に走り続ける人間がいるだろうか?答えるまでもなくそんな人間は…いや、そんな生物は俺は知らない。
無論、肉体的な意味だけでなく精神的にも生物は疲労して摩耗してしまう。ストレスで髪の毛が抜け落ちて素晴らしい太陽を頭に光り輝やかせているサラリーマンはしかり、優雅に日向ぼっこをしている猫でさえも引越しで環境が変わった事によりストレスで病気を引き起こすらしい。
だからこそ昔の人達は病は気からなどといったことわざを残したのはある意味必然なのだろう。師匠もよく俺の修行が休みの日には趣味の釣りに没頭していたし、俺も休日は趣味に没頭するなどして心の平穏を得て肉体と精神を休める事に努めている。まぁここまで語っておいて何を伝えたいのかと言うと『エネルギーの補給は大切だ』と言う事だ。どんなに優れたポテンシャルを秘めたスポーツカーでもガソリンを入れなければ全く動かずにただの鉄の塊になってしまう。故にエネルギーをなんらかの形で補給しなければ最大限のパフォーマンスは発揮することなどできるわけがなく、無残な結果しか待っていない。
故に休養はとても大切な事であり、オンとオフのメリハリが大切なのだ。


「ァァァァァ……堪んないな」



かっぽーん。と良い音を出すししおどしと湯気の立ちこめる。真っ白く濁った湯は、熱すぎず温すぎず、丁度いい温度だった。


「ァァァァァ………」


しっかし最高に気持ちいい………熱々な温泉に浸かり静寂な空間で月を眺める。永遠には続かないとはいえどうしてこの至福な時間はどうしてこんなに心地の良いものなのだろう…………ァァァァァ………




京都水族館を後にした俺達は『俺が高確率で引き寄せてしまう旅行先でのトラブル』にも遭遇する事もなく、無事に旅館に戻ってこれた。


そして夕食を食べ終え、暗殺で疲れ切った俺は修学旅行で一番楽しみにしていた温泉で至福の時を過ごしていた。



温泉特有の硫黄の匂い、漆黒に染まった空から淡く朧げに光る三日月が風情を感じさせる。


「この旅館はボ…年季が入っているが、温泉は掛け流しでサウナと露天風呂を完備しているし料理の質も高い…プライベートで来ても良いぐらい最高だ」


変わっているかも知れないが、高級ホテルの一流のサービスなどの畏まったサービスも良いが俺はこんな旅館の方が好きだったりする。そんな事を思いながら感傷に浸っていると、突如、キャッキャ ワイワイといった仕切りの向こうから元気な女子の声が聞こえる。相当盛り上がっている様だ。


「ほほぉ……矢田ちゃんのは中々育っていますな〜」


「そんな事ないよ」

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