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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 2
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らはらと落とす。

「三才一所、混合乾坤、百神帰命――」

 つまんでは落とし、つまんでは落とし、つまんでは落とす――。

「万将隨行、永退魔星、凶悪断却――」

 やがて部屋中に満ちた煙は一カ所にかたまり、そこから一筋の煙がひものように模型の中へとのびてゆく――。

「不祥祓除、万魔拱服――。よし、これで道ができた。この煙に入れば模型内にある異界へ行ける」
「……ええ」
「どうした?」
「え? ううん、なんでもない」
「いや、なにか言いたそうな顔をしてるぞ」
「あー、あのね。あたしのカン違いかもしれないし、気のせいだと思うから気を悪くしないで聞いて。なんかね、今みたいな方法じゃなくても、あたしがもうちょい気をいじれば模型の中に入れる扉≠もっと早く作れたような感じがしたの」
「ああ、なるほど。龍脈を始め森羅万象の気を見て動かす如来眼の力があれば確かにできるかもな。次の訓練じゃ、ちょっとそこらへんの力の使いかたも試してみよう」
「ええ、お願いするわ」

 秋芳と京子は手と手を結んで煙の中へと姿を消した。

 この世のなかにあって、この世のものならぬ世界。陰態、とでも呼ぶべき場所を二人、手と手とをしっかりと結んで歩く。べつに手をつなぐ必要はないのだが、自然にこうなってしまうのだ。
 京子は秋芳の手の冷たさに心強さを、秋芳は京子の手の温かさに安寧を感じた。
煙の道を抜ける。
 黒い空、異様に大きく明るい月が地上に冴え冴えとした光を放ち、桜が舞い散る中。金色に輝く黄金瓦と白い壁の建物が遠目に見えた。
 月の光というスポットライトに照らされた巨城。聚楽第だ。

「うわぁ、すてき……。まるでライトアップされてるみたい」
「こりゃまたずいぶんと華美に飾ったものだな。模型よりもかなり豪華だぞ、これは」
「お城って、こうして見ると綺麗なのね〜」
「この城は綺麗に盛りすぎだけどな。さて、今いる場所は……、出水通りだな。とりあえず一番近い門から入ろう。ここからだと南門か西門だな」
「ここって、かなり広そうね」
「聚楽第はディ●ニーシーと同じくらいの広さがあるというからな」
「そんなに! 豊臣秀吉ってずいぶん贅沢な所に住んでいたのね」
「まぁ、天下人だからな。それに聚楽第はたんなる私邸じゃなく政務を取りあつかう場所でもあったから、ことさら豊臣の威信をしめすよう、でかくする必要もあったんだろう」
「そういえばあたし、豊臣秀吉について教科書に載ってる程度のことしか知らないわ。ねぇ、秀吉ってどんな人だったの?」
「んー、好きな食べ物はひき割り粥だったとか、食事はわりと質素だったみたいだな。と言っても当時の食事なんて公家や大名クラスでもそのくらいで、江戸時代の庶民のほうがよっぽどバリエーションに富んだ、良いものを食
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