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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 2
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。老人は変わらず手を振りかざしている。

「これ、手招きしてるのかな?」

(秋芳〜、天馬〜)

 小さな老人が呼びかけてきた。

「ええっ!? 僕らのことを呼んだの?」
「よせ! 反応するな!」

 遅かった。
 老人の問いかけに応えた天馬は人形のように小さくなり、聚楽第の中へと吸い込まれてしまった。
 世の中には呼ばれて返事をする。あるいはそれに対してなんらかの反応をしめすことがトリガーとなる呪が存在する。
 『西遊記』には返事をすると吸い込まれる紫金紅葫蘆(しきんこうころ)羊脂玉浄瓶(ようしぎょくじょうびん)という宝貝。呪具が出てくる。
 怪異からの呼びかけに対して『返事をしてはいけない』系の都市伝説や怪談の類など、枚挙にいとまがない。
 天馬はそれに引っかかってしまったようだ。
 その時、秋芳の携帯電話が振動して着信を告げる。落ち着いてディスプレイを見ると京子からだった。

「もしもし……。ああ、ひと足遅かったな。ちょっと厄介なことが起きた――」





 目を半眼にして模型を流れる気に探りを入れる京子。

「……ん、これって前に秋芳君が作った遁甲双六と似たような作りをしてると思う。あれよりかなり本格的だけど」
「時空間を入れ替えて、この模型内に別世界をこしらえたわけか。古に伝承にある『壺中天』だな」
 
 壺中天。壺中の天地という言葉がある。
 後漢の時代。汝南の町に壺公という薬売りがいて、仕事が終わると、いつも持っている薬壺の中に入っていったという。それを見た町の者が一緒に入れてもらったところ、そこには立派な建物があり、酒と肴があったので共に飲んで出てきた。という話がある。
 空間そのものを縮小し、壺の中に移すという方術の一種だ。

「あの爺さん、天馬をさらってから姿を見せやしない。携帯電話もつながらないし、こっちから出向く必要がある」
「あたしも一緒に行くわ」
「いや、もしもの時のためにここで様子を見ていてくれ。帰ってこなかったら呪捜部に連絡を頼む」
「それは笑狸ちゃんの仕事でしょ。こういう時のための式神じゃない。ねぇ、秋芳君。あたしけっこう強くなったでしょ? 犬神の時みたいなヘマはしないから、一緒に行かせて」
「わかった。じゃあ一緒に行くぞ」
「ええ、行きましょう!」
「まぁ、あせるな。いろいろと準備がある」

 幸か不幸か天馬の家族。祖父母は共に遠出しており留守で、遅くまで帰ってこないそうだ。時間には余裕があった。





 香炉の中で炭が赤く熾っている。秋芳はそこに抹香を落として煙を焚き、呪を唱える。

「天道清明、地道安寧、人道虚静――」

 炉の中から立ち昇った煙が部屋中に満ちる。秋芳は呪を唱え続け、抹香をつまんでは炭の上には
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