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空気を読まない拳士達が幻想入り
第9話 建築の覇王現る!?お前を倒すのは俺の弾幕だ!!
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 スーツ良し。
 革靴良し。
 ネクタイやワイシャツ良し。
 その他諸々概ね準備良し―――

 明日の新社会人生活に向けての最終確認をバットは行っていた。
 大学も卒業し、就職活動も無事に終わった。後は明日から社会の歯車に加わる。
 その事に対し不安もあるがそれ以上に期待もある。

「そう言えば、最近ケン達の事見かけなくなったなぁ。まぁ、バイトが一緒だったから会ってたようなもんだけどさ」

 以前まで勤めていたコンビニのアルバイトは先日辞める手続きをしてきた。
 元々は大学の学費や生活費を稼ぐ為に続けていた事なので、大学を卒業し、晴れて就職した以上続ける必要がなくなった。
 まぁ、それでもあそこで知り合った人達とは未だに交流がある。特に店長の娘のリンちゃんとは以前ほどではないが会ったりしている。
 だが、入社して仕事をするようになったら、恐らく会う機会は減ってしまう事になるだろう。
 そう考えるとちょっと寂しい気もした。
 
「まさか、ケン達に会えないのを寂しいなんて思う日が来るなんてな。今まで散々な目に逢って来たってのに、いざ会わないと物足りないと感じるんだもんな。まぁ、明日からは俺も社会人になるわけだし、流石に会社の中にはケンみたいな奴は・・・いないよね」

 自分で言ってて妙に不安になった。まぁ、居たとしてもそれはそれ。何時ものように乗り切ればいいだけの話だ。
 そう自分に言い聞かせ、明日に向けて床に入り静かに眠る事にした。
 明日から始まる新生活に心が躍る。
 期待と不安が入り交じり、こねくり回されて固められてこんがりと焼かれたような、そんな不思議な感覚を感じつつも、バットの意識は静かに遠い彼方へと旅立って行った。




     ***




「・・・・・・何これ?」

 目を覚ましてからの第一声がこれであった。目の前に広がるのは見たこともないド田舎じみた風景。そして自分が居るのはそんなド田舎の中にある神社の境内っぽい場所。
 まぁ、神社と言っても目の前にあるのは神社だったと思わしき更地になった土地しかない。
 
「はぁぁ!? 一体何がどうなってんだよ!? 俺昨日アパートで寝た筈なのに、何で目が覚めたらこんな田舎に来てる訳? 一体全体何がどうなってんだよ!?」

 開幕一番の盛大なツッコミが入った。無論、周りに誰もいないのでそれを返す相手は誰もいない。

「おいおい、年がら年中頭ん中世紀末な連中からようやく解放されたと思ったら今度は何だよ? 誘拐か、それともキャトルなんちゃら? どちらにしてもはた迷惑この上ねぇだろう」

 自分に起こった状況が全く理解できない。そもそもここは何処なのだろうか? 見た感じ日本のド田舎には間違いないのだがそれ以外の情報が全くない。
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