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キコ族の少女
第29話「ユイとスクワラとエリザと……3」
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「まだ少し、顔色が悪いな」
「……んっ」


 少し寒気を感じていた時にスクワラの温かい掌が額に置かれたので、程よい温かさに喉の奥から音が漏れる。

 ふと、スクワラが俺に触れる様子がノブナガの姿とダブって見えた。
 その幻覚を見て、この世界で生きていく事になった最初のうちは生活環境のすべてが激変したことに身も心も対応しきれなかったために、その不安定さが体調に影響されて週一で寝込む時期があり、ノブナガに少々乱暴ながらも看病をされていたことを思い出して、懐かしさに頬が少し緩んだ。


「……夕食まで時間があるから、寝てろ」
「分かりました」


 俺が思い出し笑いをしたことに何を感じたのか、スクワラは頭を軽く振ると俺に眠る様に言いながら頭を一撫でしてから手を離すと「ちゃんと寝ろよ」と釘を刺してから部屋を出て行った。


「……ふぅ」


 他人がいなくなった自分とテトだけの部屋で、無意識に張っていた体の力を溜息と共に抜くと柔らかいベットに体が沈み込む様な心地よい感覚が全身を包み込んだ。
 それに合わせて少しボヤけていた思考が霞みがかっていくとともに瞼も重くなってくるが、眠る様に言われているので特に抵抗することなく睡魔へ身を委ねていく。


 そういえば、ネオンは別としてダルツォルネにスクワラ、あとエルザもだが俺に対して大小の違いは有れど好意的な接し方をしてくれていた気がする。
 エミリアと同じで特異な存在であり、子供だから囲い込もうとしているのだろうか……ぁぁ、ダメだ。睡魔に身を委ねた状態での考え事なんて、できる、わけが……
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