暁 〜小説投稿サイト〜
Darkness spirits Online
第15話 男達の罪
[1/12]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 ――飛香Rという少年は、独りだった。

 幼くして父を失い、兄弟もいなかった彼は、大人しい性格も影響してか友人も作れない日々を送っていた。
 そんな彼の孤独を癒していたのが、ゲームだった。

 誰も隣にいない毎日でも、遊んでくれる親も兄弟もいない日々でも。
 自分に「楽しい」という感情を与えてくれるゲームだけが、その当時の彼にとっては拠り所だったのだ。彼は周囲と打ち解けられず、孤立を深めれば深めるほど、仮想空間にのめり込んで行った。

 それから数年。中学生となった彼は得意なゲームを通じて、ほんの僅かではあるが――友人を得るようになり始めていた。
 成績も優秀であり、ゲームも上手いということが、友人作りのステータスとして機能していたのである。自分を認めてくれる友を得た彼は、かつてない喜びを噛み締めていた。

 それゆえに、友人に自慢したいという自己顕示欲を抱いた彼は。
 海外留学を名目に、プロゲーマーの舞台に立つことを目指すようになった。

 ――やっと出来た友達が、離れていかないように。もっと、自分を好きになってもらえるように。
 それは、自信のなさや寂しさの裏返しだったのかも知れない。

 普通ならば、どこかで挫折して現実を味わい、夢から醒めるものだろう。
 だが、なまじ天才肌な彼は醒めない夢を見続けるかの如く――海外留学を決めてアメリカへと渡り、初参加したゲーム大会で優勝をもぎ取ってしまった。

 ――そして。

 その頃のホームステイ先のパーネル家で、彼は――ソフィア・パーネルという少女と出逢う。

 同い年でありながら、病弱であるという理由から学校に通えず、友達もできない。満足に外に出ることさえ叶わず、好きな花々を遠目に眺めるばかり。
 いつの日か、自分の足で外を歩き、花が咲き乱れる並木道を歩きたい――そう願いながら彼女は、寝たきりの毎日を送っていた。
 両親もおらず、親戚の養父母からは疎まれ、唯一の味方である兄も、警察の仕事が多忙を極めほとんど家に帰らない。

 そんな彼女に、幼き日の己を重ねて同情したのか。Rは彼女に、「Happy Hope Online」――「ハピホプ」を紹介した。
 一面に咲き誇る花畑。ポップな世界観に彩られた幻想世界。そこならば、彼女の願いに近づけるかも知れない……と。

 そんな彼の考えが、功を奏し。
 彼女は見たことのない異世界と、自分の足で歩ける感覚を知り、感動を覚えていた。
 VRMMOだからこそできる、自分の体を自在に動かせるという喜びを知るソフィア。そんな彼女の横顔を見遣り、Rも確かな充足を感じていた。

 そうして、「ハピホプ」を通じて二人の仲が深まってから、半年。
 同情から始まった彼らの関係は、いつしか「恋」という感情を伴うようにな
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ