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MS Operative Theory
内部図解
AMBACシステム
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??推進剤の消費を減少させた、画期的姿勢制御システム??

 MSの腕部や脚部などの質量移動、つまり「手足を振り回す」ことによって推進剤を消費せずに姿勢制御を可能とする方式が「AMBACシステム(Active Mass Balance Auto Control System=能動的質量移動による自動姿勢制御システム)」である。AMBACシステムは、MSの原型であるZI-XA3(クラブマン)も時点で既に採用されていた機構としても知られている。

 大気が存在しない宇宙空間において、機体の姿勢を制御するには、宇宙開発初期から小型のロケットモーターが用いられた。メイン・スラスターの噴射方向に自由度を持たせることでも、姿勢の変更は可能だが、大量の推進剤が必要になるというデメリットがある。また、衛星軌道を周回中の機体が、メイン・スラスターを用いた姿勢制御を行った場合、加減速されるために軌道(高度)も変更されると言う問題もある。こうしたことから、宇宙空間で姿勢を変更するには、その場での回転が理想とされる。そのために姿勢制御用のロケットモーターが搭載されるのである。具体的な挙動として、機体の側部の四隅に姿勢制御用ロケットモーターが設置されている場合、右前方と左前方のモーターを使用すれば、速度を維持したまま機首を左に向けることが可能となる。

 このように、姿勢制御用ロケットモーター(宇宙世紀においては「アポジモーター」とも呼ばれる)は、宇宙空間において必要不可欠な装備だが、欠点も指摘される。それは主推進器とは異なるプロペラントタンクを必要とすることである。しかし、プロペラントの量は少なく、一般的な宇宙戦闘機では、所要時間2.5秒の180度旋回を行った場合、30回で推進剤切れなるといわれる。母艦や基地から発進後、任務を終了し、帰艦するまでに「曲がれる」回数が制限されているという状況は、実施可能な作戦が限られていることを意味する。戦闘/攻撃任務を行い、突発的な戦闘にも対処しなければならない宇宙戦闘機にとって、旋回回数の制限は生存率の低下に直結するものと言える。

 そこで新しい姿勢制御方式として「AMBACシステム」がMSに採用されたのである。AMBACシステムは、四肢ユニットを動かした反作用によって、機体の向きを変更するという機構で、推進剤を使用しないという特性を持つ。旋回回数が制限されないため、AMBACシステムは宇宙用の姿勢制御機構として最適の機構といえた。AMBAC肢(AMBACシステムに使用する腕部や脚部など)は、十分な質量を持った可動肢であれば作業用マニピュレーターでもよく、MAやモビルポッドでも採用された(MA-05(ビグロ)は、AMBACとアポジモーターを併用し、180度旋回を1.3秒で完了したといわれる)。また、バインダーやロングデール・スタ
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