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ダン梨・T
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力は全然追いついてないし、向こうのが正しいんじゃ」
「人間誰だって自分が正しいって思って生きてんだから、完熟トマトの下らねぇ価値観にいちいちかかずらうな。ベル、こういうのは言ったモン勝ちだ。それに言葉には魂が宿る。言霊って奴だ。魂が詰まってるなら、その言葉は自分の背中を押してくれる。さあ、お前がなりたいのはどんなトマトだ!?」
「出来ればトマトじゃなくて人間の英雄になりたいんだけど……?」
「声が小せぇぞ!そんなんじゃ立派なトマトにはなれん!!」
「うああ、人にばっかり恥ずかしい事とか勇気あることさせようとして!バミューダの悪い所!だいたいそういうバミューダはどうなのさ!?冒険者として英雄とかなりたくないの!?」

 何を馬鹿な事を言うのですかベル君よ。自分がやりたくない事を他人に押し付けるのは長生きの秘訣ですぞ。あと他人を唆して面白い状況を作るのもな。お前は本当に出来のいいピエロだよクーックックック……しかしよくリアクションしてくれるトマト君の頑張りに免じて俺の本音も聞かせてあげよう。

「俺が冒険者になったのはお前が誘ったから。そんだけ。面白そうだから着いて来た」
「わざわざオラリオまで来ておいてそんだけぇ!?」
「俺は俺のやりたいことをやるだけで、人間が生きる理由なんぞそれで充分!!神々でさえ俺を笑う権利はない!!」

 何故なら神も自分のやりたことをしてるから、という揚げ足取りのようなオチはさておいて、ベルは眼尻を抑えて静かに呻いたのち、テーブルに置かれた料理を一気に掻き込んだ。その見事な食べっぷりに周囲が関心する中、食べつくしたベルは皿をテーブルに置いて叫ぶ。

「ほんっとバミューダって馬鹿だよね!!自分勝手で身勝手でずるっこくてさぁ!!ほんっとズルいよこういう時だけちょっとカッコイイなって思うようなこと言っちゃってぇ!!いいよ分かったよ!!僕これからダンジョン行く!!行ってバトって強くなって僕を笑った人をいつかこの手でブっとばして『トマトに負けた感想はいかが?』って聞いてやるよチクショーッ!!」

 顔を真っ赤にして全力で叫んだトマト君は、それですっきりしたと言わんばかりに俺に向かってニっと笑った。やっぱりコイツ面白いなぁ、と思った俺は右手のげんこつを突き出し、ベルの左手のげんこつと突き合わせた。



「大胆な宣戦布告やで。どないするベー……いや完熟トマト?」
「いやー、言われちゃったね完熟トマト!」
「誰が完熟トマトだオラァ!!人を馬鹿にするのもいい加減に……」
「ベート」
「あん?な、なんだよアイズ……」
「顔真っ赤。もうちょっとで完熟トマトだね」
「………ウガァァァァァーーーーーーーーーッ!!!」
「静かにしろ、ベート。ファミリアの品格が問われる。まったく、これなら喋らないトマトの方が
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