暁 〜小説投稿サイト〜
和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する
第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
第26話 相手は師匠?(asumi vs sion)
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でいるのだろう。駆け引きが巧い。

 番組では司会の質問が続く「勢いで訊いちゃいますけど、気になる男性はいますか?」

「囲碁の読みの力は鍛えているが、男性の心は全く読めないな」

 アイドルらしい相手に言質を取らせない私にはできない上手な受け答え。

 ツケを防ぐために打った手に鮮やかなワリコミが用意される。
 100手を過ぎた辺りから、白の手からもはや完全に勝ちが分かっているという感じを受けた。
 
 コミが無くて負けているので投了した。最後まで黒は左下で泣かされていた。

 私がボンヤリと判断してしまった右下の二間トビ、左下のサバキ、第三者がみるなら随所に感動的な手が見られる名局なのだろう。

 両ガカリに手抜いて星の1子を取らせて、後から見事に捨て石として活用して見せた。
 力押しの手もなく自然に中央に地をまとめ、美しい終局図となっている。

「……ありません。」

 何一つ集中できず呆気なく終局を迎える。
 桐嶋研を通じた知り合いでもある石橋九段が心配そうな眼差しで私を見る。


 私の手が天元のタイトルに届くことはなかった。


「風声鶴唳、安全な手というのは、ちょっとずつ甘い手というか、最善から少しずつ悪い」

 感想戦での東堂シオンの言葉を思い出す。
 彼女は私の怖気づいてしまった心を見抜いていたのだろう。
 ヨミの勝負だけじゃない。私とは違って彼女は揺らぐことなく打ち切った。


 対局場を後にすると記者が駆け寄ってきて次々に質問を投げかけてくる。

「勝てなかったのは、まだ弱いっていうことです」

「強くなれますか?」容赦なく記者の質問が続く――。

「なれるかどうかは分からないんですけど、強くなりたいです、今の自分よりも。
 過去は過去なんで………。これから自分はどうなるか、将来の方が大事です」

 女流の枠を越え、一般棋戦での優勝も期待される唯一の存在だと煽てられて――。

 私の力は、あくまで和-Ai-から貰った力なのに、自分の力だって……何処か勘違いしてた。

 私は和-Ai-の力があれば、桐嶋和さんに追いつけるって思ってた。

 いつかタイトルだって取れるって――。

 けど、それじゃあダメなんだ。わたしはわたしの碁を……打たなきゃ。

「アイドルとして憧れられる存在でいたいんだ。
 なにより私は自分自身に憧れたい。いつだって一番カッコイイ自分でいたいと思っている」

 憧れの棋士について質問されたときの東堂シオンの言葉を思い出す。


 私は泣いた。今までで一番泣いた。 

 負けたこと。彼に嘘をついてしまったこと。


 私は東堂シオンに和-Ai-のノートパソコンを見せることができなかった。


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