暁 〜小説投稿サイト〜
Re:童話姫たちの殺し合いゲーム
(現代語訳)竹取物語(口語訳)4
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
<火鼠の皮衣>




火鼠の皮衣をリクエストされた右大臣阿部(うだいじんあべ)のみむらじはお金持ちで、豪邸に住んでいたそうな。


中国の知り合いである王慶(おうけい)に『火鼠の皮衣というものが必要なのです。そちらで手に入れて送っていただけませんか』という手紙を書きました。


それを家来の小野に渡し、代金と一緒に届けさせたそうな。王慶はすぐさま返事をよこしたそうな。


<火鼠の皮衣は、この国にはありません。うわさでは聞いたことがあるのですが、見たことはありません。もしもどこかにあるならば、私のところへ誰かが持ってきているはずです。どうやら手に入れるのは難しいようですよ。もしかしたらインドの富豪が持っているかもしれません。ちょっと探してみます。もし見つけられませんでしたら、お金は後日お返しします。>



月日は経ち、中国の船が来たとの連絡を受け、小野は馬を走らせました。


右大臣阿部は一刻も早く届いたものを知りたかったので、とても速い馬を貸したそうな。


箱と手紙が届けられた。手紙にはこう書いてあったそうな。


<苦労しましたが、火鼠の皮衣、手に入りました。めったにない品物です。その昔、インドのお坊さんがわが国に持ってきたようです。西のほうのお寺に保存されていたのを買い取ってきました。少しお金が足りなかったので、こちらで立て替えておきました。その分は、こちらに帰る船の誰かに渡しておいて下さい。もし必要でなくなったのであれば、返品してくださってけっこうです。>


これを見て右大臣阿部は


何をおっしゃる。お金ならいくらでも払いますよ。私はたいへんうれしい!


と中国のほうを向いて感謝をささげた。



さて、火鼠の皮衣が入っているという箱を見てみると、さまざまな色の宝石で彩られた作りである。箱を開け皮衣を取り出します。深い紺色だ。それぞれの毛先は金色にきらきらと輝いている。


右大臣阿部はこれはすばらしい宝だと思いました。これにおよぶ美しいものを彼は見たことが無かった。火をつけても燃えないということだったが、見た目だけでもその珍しさがわかる品物です。


右大臣阿部は『なるほど。これほどすばらしい物であるならば、かぐや姫が欲しがるのもわかる。あぁ、これは良いものだなぁ』と言い、ていねいに箱にしまいました。


今夜はかぐや姫の部屋に泊まるのだからな、と彼は身じたくをし、和歌を詠み、それを花の付いた枝にくくりつけて箱に添えました。



<かぎりなく恋に燃えていた私の心も、焼けることのない皮衣を手に入れ、涙で濡れたそでを乾かし役目を終えました。おかげで、はればれとした気分で着物を着てうかがうことができます>



かぐや姫の家の門
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ