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艦隊これくしょん〜男艦娘 木曾〜
第三十話
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と音がした。
 
矢は回転していたらしく、壁に横向きで埋まっていた。
 
「バカ野郎!ダーツの矢を振りかぶって投げるやつがいるか!」
 
摩耶さんは春雨に一喝した後、机に置いてあった赤色ペンを持った。そのまま壁に移動し、春雨の投げた矢のところに、
 
『←春雨』
 
と書いていた。懐かしいなおい。
 
「ご、ごめんなさい…………。」
 
しょんぼりする春雨。いや、確かにダーツの投げ方って知らない人は本当に知らないもんだしな。綺麗なオーバースローだった。
 
摩耶さんは壁に埋まったダーツの矢を取って(そこそこの深さで埋まってた)、俺らの近くに戻ってきた。
 
「ほれ次、二号だぞ。」
 
そのまま俺に催促してきた。
 
…………俺、ダーツしたこと無いんだけどな。
 
俺は的の前に立って、矢を構えた。肘を固定して、肩の前に肘を持ってくる。
 
―――そのまま、スッと投げた。
 
タンッと音がして、矢が的に当たった。
 
「―――5トリプル。」
 
摩耶さんがそう言った。
 
「えっと、なんすかそれ。」
 
ダーツのルールが全く分からない俺。5トリプルなんて言われても分かる筈もない。
 
「このさ、細い二重円の内側の円のところの5の所に刺さってるだろ?ここは『刺さってるラインの数字の三倍の得点』貰えるんだよ。」
 
確かに、的の外側の『5』の所の『二重円の内側の円』に矢は刺さっている。

つまり、五かける三で、十五ポイントってことか。

…………成る程。
 
「かなり面白いですね。」
 
「だろ?」
 
ニヤリと笑う摩耶さん。
 
「さぁ!どんどんやってこーぜ!」
 
摩耶さんはそう言うと、手元の矢を持った。
 
 
―一時間後―
 
 
「いやー、流石に一週間で雷撃を形にしただけはあるわ。吸収はやいな。」
 
俺達はそのあと、遊戯場が閉まる時間までダーツをして楽しんだ。
 
「今日はありがとうございました。また誘って下さい。」
 
「とっても楽しかったです!」
 
俺と春雨は摩耶さんにお礼を言った。
 
 
 
 
「いやいや、本題はここからよ。」
 
 
 
 
摩耶さんは、真面目な顔をしてこちらを向いた。
 
「「…………?」」
 
きょとんとする俺と春雨。
 
 
 
 
「お前らにまだ木曾の昔話しをしてねぇだろ?」
 

 
 
「は?」
 
思わず間の抜けた声を出してしまった。
 
「私たちは勝負に負けたんですよ?なのに、なんで。」
 
春雨はそう言った。確かに摩耶さんは、『アタシに勝ったら教えてやる。』と言っていた。
 
「いやいや、どう考えても今日の対決
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