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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv56 真実の姿 ( i )
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 地下牢を出たアヴェルは、そのまま自分の部屋へと向かった。
 程なくして、部屋の前へとやって来たアヴェルは、扉の取っ手に手をかける。
 と、そこで、アヴェルを呼ぶ声が聞こえてきたのである。
「アヴェルお兄様、お待ちください」
 意気消沈した表情で、フィオナは物陰から姿を現した。
 現れたのはフィオナだけであった。
「フィオナか……なんだ一体?」
「……先程は、申し訳ありませんでした」
「それはもういい」
「あの、お兄様……今、お時間よろしいでしょうか……」
 アヴェルは暫し思案した後、自室の扉を指さした。
「……少しならな。とりあえず、中に入れ。どうせ、あまり人前ではできぬ話だろう?」
「は、はい」
 そして、2人は部屋の中へと入って行った。

 扉を閉めたところで、アヴェルは話を切り出した。
「お前がコータローさんと知り合いだったとはな……。で、一体、どういう知り合いなんだ?」
「コータロー様とは、ピュレナでお会いしました」
「ピュレナで、か……。まぁ確かに、あそこは巡礼地だから、色んな旅の者がいる。だが……旅の者と、我々王族が知り合うなんて事はまずない。……あそこで、何かあったのか?」
 フィオナは頷くと、静かに話し始めた。
「実はこの間……私はピュレナへ神託を受けに行ってきたのですが、その時、沐浴の泉で魔物に襲われたのです」
「なんだと……あの神聖な泉でか!?」
「はい……それは恐ろしい姿をした魔物でした。私も魔法を使って応戦しましたが、まるで効果がありませんでした。後で知ったのですが、護衛についていたルッシラ達も、その魔物が持つ奇妙な武具で眠らされ、成す術がなかったそうです。……あの時ばかりは私も死を覚悟しました。ですがその時……コータロー様が現れ、あの魔物を退治してくださったのです」
「そういう事があったのか……。で、コータローさんはその後、どうしたんだ?」
「コータロー様は1つだけ私に忠告して、そのまま去って行きました」
「忠告?」
「あの時、コータロー様は、誰が敵かわからないから、神殿内にいる者に気を許すなと言っていました。そして、私はその言葉を肝に銘じて、ピュレナから王都へと帰ってきたのです」
 アヴェルは顎に手をやり、暫し思案した。
(……神殿内にいる者に気を許すな、か)
「で、その後は何もなかったのか?」
「はい。ですが、次の日の朝、妙な出来事があったのです……」
「妙な出来事?」
「実は、ピュレナを管理するグスコー神殿管理官が、昨夜、突然いなくなったそうなんです。どこかに外出する予定などはなかったそうで、神殿の者達も首を傾げておりました」
 そこでアヴェルは、ヴィゴールと戦った時の事を思い出した。
 アヴェルはボソッと呟く。
「もしかすると……
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