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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第173話 古き友
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「今からここに最凶の荒御霊を呼び寄せる」

 口調は酷く淡々とした……ある意味、熟練の召喚師らしい口調と言えるかも知れない口調でそう告げる俺。
 しかし――

「何を馬鹿な事を言って居る?」

 召喚作業と言う物はひとつ手順を間違えると成功しないもの。こんな戦場のど真ん中で。その上、最初から準備をしていた訳でもない即興の召喚術が簡単に為せる訳はない。

「当然、俺もそんな事を許す訳はないがな」

 相変わらず、見た目はギャグキャラ。口調は三下。しかし、此奴が発して居る雰囲気からは危険な敵という気配などではなく、どちらかと言うと無害。能力の大小などではなく、人間自体が持っている気配が基本的にお人よしの部類に分類される気配を発している人物。
 そう言う意味では、今までにこのハルケギニアに召喚されてから出逢って来た、神に選ばれた英雄を自称していた連中とはまったく異質な存在と言うべき匿名希望のチンチクリン。
 もっとも、そうかと言って、何モノかに強力な暗示を掛けられている気配も感じる訳でもないので、この場に現われた理由は自らが考えて、それが正しい道だと判断した結果なのでしょうが。

 何にしても非常にやり難い相手であるのは間違いない。更に言うと、相変わらず能力アップ系の術は行使され続けているのも事実であり、その結果、単純な筋力だけで言うのなら、もう奴が腕を振るうだけで自らの腕をぶっ壊せるだけのパワーが蓄えられている可能性も大。
 そして、俺の見鬼が伝えて来ているのは、それほどの能力強化が行われているのにも関わらず、奴の身体を構成する物質に変化を感じさせる気配はなく、身体自体は相変わらず有機生命体としての域を一歩たりとも出てはいない、……と言う事実。

 何故、其処まで強く俺を悪だと決めつけられるのか、その根拠が非常に曖昧なのだが、それでも目の前に立ちはだかり続ける以上、自らの力で排除するしか方法がない。
 ……出来るだけ穏便な方法。奴自身の能力に因って、チンチクリン自身が壊れて仕舞う事も同時に防ぎながら。

「確かに一般的な召喚なら、オマエさんの言うように複雑な手続きが必要となる」

 成るほど、伊達に二度目の人生を過ごしている訳ではないみたいやな。一度、そうやって目の前の道化を持ち上げて置く俺。

「但し、何事にも例外と言う物がある」

 再び、俺の前に一歩踏み出したタバサの更に前に踏み出しながらそう言う俺。その俺との距離を取ろうとするかのように二歩、三歩と後ずさりする匿名希望のチンチクリン。
 タバサの方は、召喚中に無防備となる俺の身を護る心算なのでしょう。そして、チンチクリンの方は別に俺に気圧されたと言う訳ではなく、おそらく未だ俺やタバサ、それに有希のステータスが分からないので、少し距離を取った上で、更に
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