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俺の四畳半が最近安らげない件
栄光なき軍師 〜小さいおじさんシリーズ18
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「何を云うのです。私自身の手を汚すのは少々躊躇われますが、わざわざ死んでみせてくれる御仁がいると聞けば、そりゃちょっとは、どうなのかな?と思いませんか、綺麗事抜きで」
「ぐぬうっ…」


―――ちょ、何?お前ら『そっち側』に行っちゃうの!?


「呑み、食い、眠るこの体は仮初のものなのか、このまま永続するものなのか、死は訪れるのか」
「………しかし卿、そんな実験を赦してしまっては!!」
「―――それとも、我々はそもそも、存在、しないのか」
呟くように云って白頭巾は、自らの左手を右手で握りしめる…零れ落ちる『何か』を掴むように。
「ある日突然、消えてしまうものなのか」


これは、何だ。


この不遜な英雄はまさか、怯えているのか。人殺しを是とする程に。
「…貴方も、そうお考えなのでしょう?」
縛り上げられた荀ケを見下ろし、白頭巾は何処か頼りなげな微笑を羽扇で隠した。荀ケは何も答えない。だがその昏い瞳は、その賢しさ故に。
「見通しが、利かないのだ」
よく通る声でそう云って、荀ケは顔を上げた。その視線は、自分を見下ろす3人を、順繰りに捉えていた。
「卿らは何故、そのように楽し気にこの状況を楽しめるのでしょうか。何一つ、見通しが利かないというのに」
「ぐぬ……」
「蜀の丞相…卿の云う通りだ。何故、何故、何故…あらゆる仮説を立てては実証を試みた。この1年近く、ずっと」
「そ、そんな前からこっちに来てたのか!?」
豪勢が軽くビビる。荀ケはそのまま、言葉をつづける。
「しかしどの仮説も覆された。どうして存在するのか、何の意図で我々…三国時代の関係者がこの場に集まっているのか、未だに欠片も分からない。この肉体も」
そう云って、少し身をよじらせる。
「食うことは出来るが、食わなくても死ぬことはないでしょう。かつての身体とは、明らかに違う『何か』に、我々は成り果ててしまっているのですよ」
「おお、食おうと思えば無尽蔵にも食えるしな。変な身体になったもんだ」


「何故平気なのですか!?」


自由の利かない首を精一杯ねじりあげ、荀ケは叫んだ。
「……殿はいつもそうだった。魑魅魍魎が跋扈する激動の三国時代を…傍若無人に事もなげに…!私はあの頃、殿のそういう所が恐ろしくて堪らなかった」
3人は、軽く顔を見合わせた。その表情に去来するのは、意外にも『困惑』に近いものだった。…何か云いかけた端正を軽く制し、豪勢が荀ケの傍らに膝をついた。
「余が誰なのか、誰の意図で戦乱の世に産まれたのか…そんなのは『あの頃』とて変わらなかったろうが」
「………」
「荀ケ殿。…誰しも、同じです。私も不覚にも、ここに辿り着いた直後は眠れぬ夜を過ごしたものです」
「蜀の丞相殿…」
―――え?なんか最初に見かけた頃から
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