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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第九十三話 絶体絶命です。
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ますか!?」
「卿は何者だ?」
じろりと使者の男の顔を見つめたミュッケンベルガー主席元帥の眼光は厳しかった。
「返答によっては卿を即刻逮捕し、取調べをせねばならん。このような稚拙で、露骨な偽書簡などを送ってきた者は誰だ?どこの差し金か!」
「ブラウンシュヴァイク公爵の書簡を、引き裂くなど・・・何たること!!公にどう言い訳をなさるのですか!?」
男の声も、眼も、全てが尋常ではない。燃え盛る狂気の炎が両方の瞳に宿っている。
「閣下、ご返答を!そして元帥杖をお渡しください!!」
「狂人か。」
ミュッケンベルガー主席元帥はすぐさま副官と護衛兵にひっ捕らえるように指令すべく、視線を一瞬男からそらした。その時だ!!!
一条の閃光がミュッケンベルガー主席元帥の脇腹を貫いた。そしてまた一条、今度は右胸と肩の間を閃光が貫く。ミュッケンベルガー主席元帥の巨体が地響きうって倒れるのと同時に、元帥がとっさに放ったブラスター、そして副官、護衛兵らのブラスターで額や体中を撃ち抜かれた襲撃者も崩れ落ちていた。あたりはたちまち血の海になっていく。

狼狽した叫び声が上がり、ミュッケンベルガー主席元帥はすぐさま邸に担ぎ込まれ、邸内にいた医者がすぐさま処置に当たった。


 リヒテンラーデ侯爵は公用車に老体を乗せ、私邸を出発してノイエ・サンスーシに向かった。涼しくなってきたとはいえ、10月のこの日はまだ十分に気温は高かった。
「老体にはこたえるわ・・・。」
70代に差し掛かろうという今日、いつまでこの職にとどまっていられるかと思わないでもなかった。そのくせ問題は山積しており、時間がいくらあっても足りないのである。反徒共との争いはいっこうに決着がつく様子もなく(外敵存続という、多少意図して行っているところもあるのであるが。)ブラウンシュヴァイク公爵一門を始めとする貴族連中の宮廷ないがしろの態度、そして皇帝自身の世継ぎ問題。
 リヒテンラーデ侯爵の意識は別の方角に飛んでいった。忌避している事柄から少しでも離れたいと思った作用かもしれない。アレーナ・フォン・ランディール侯爵令嬢、前軍務尚書マインホフ元帥の血縁であるこの令嬢がもたらした話はリヒテンラーデ侯爵にとって衝撃であった。
「あの金髪の孺子が、か。」
この帝国を救う英雄となるか否か、リヒテンラーデ侯爵自身にもわからなかった。強大な野心はある。そしてそれに伴うだけの力量と才幹もある。だが、それが帝国にとって良いベクトルとして作用するかどうかはまた別問題だ。
「・・・・・・・?」
不意に車の速度が落ちた。何事かと顔を上げたリヒテンラーデ侯爵の眼前に猛スピードで走ってくる対向車が突っ込んできた。車体が跳ね上がり、衝撃で引き裂かれる中をリヒテンラーデ侯爵は訳も分からず宙を跳ね飛んで意識を失ってしまった。


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