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魔術師ルー&ヴィー
第一章
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る相手ではない。
 貴族は貴族では裁けず、王または王に選出された侯爵以上の貴族でなくば裁けないのが国の律法なのである。そのため、ウイツもヴィルベルトも頭を抱え、これからどうすべきかを考えていた。だが、ルーファスはあっけらかんと「ま、どうにかなるさ。」と言って馬車へと移動したのであった。
「師匠!相手が相手なんですから、そんなんじゃ…」
「ここで考えたって埒が明かねぇだろ?先ずは進むこった。」
 ルーファスがそう言ったので、ヴィルベルトは渋々師に従って馬車へと向かった。そんなヴィルベルトに、ウイツは溜め息混じりに言った。
「ま、ルーの言う通りだ。成るようにしか成らないからな。要は奴らの計画を阻止することが肝心だからね。」
 ヴィルベルトにもそれは理解出来てはいたが、それでも不安であることに変わりはない。二人には力も位もある上、ルーファスは侯爵、ウイツには伯爵と、家の力も働いているのである。ヴィルベルトには位も無く、無論ながら家はただの商家なのであって大した力はないので、不安になるには充分であった。
「ヴィー、そんなに考えんなよ。お前は俺の弟子なんだぜ?それで不服ってのか?」
 ルーファスが見透かした様にそう言って、ニッと笑みを溢した。その瞬間、ヴィルベルトの不安は一掃された。
「いいえ!別にそう言うんじゃありません!」
 そう言ってヴィルベルトは口を尖らせて馬車へと乗り込んだため、ルーファスとウイツは苦笑しつつ馬車を出したのであった。
 朝日が昇り、周囲を光が満たしている。それは緑の山々や草原にも、焼き払われて灰になった村にも平等に注がれていた。幸も不幸も関係なく、それは全てを映し出しているのであった。





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