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魔術師ルー&ヴィー
第一章
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を伴うため、本当は使用を禁じられている。上級魔術師ですら、余程の事がなくば使用しないのが通例なのだ。
 但し、ある一定の条件が揃っていれば、それを移動手段として用いる。それは移動する場所が完全に固定化されている場合である。主に王城内に設けられた印を刻んだ部屋があり、各地方の領主の館に同様の部屋が作られ、これが出入口として使われている。
 尤も、これは国に仕える魔術師のみが使用出来るもので、それも限られた魔術師のみ。全ての国家魔術師に許可すれば、国の機密が漏れかねないためである。このリュヴェシュタンで許可されているのは、ルーファスの師であるベルーナ・コアイギスただ一人であった。
 これらを考えると、ファルケルは危険を無視し、それを無造作に使用したことになる。となれば、彼は少なからず一定の場所を住み家としていると考えられた。場所の名を特定せずに神聖術を行使したためである。
「しかしなぁ…あのアーネストって奴、どっかで…。」
 消えた二人がいた場所を見つつ、ルーファスは腕を組んで何かを思い出そうとしていた。その横で、ヴィルベルトとウイツは急いた様子で師に言った。
「師匠、早く追いましょうよ!」
「ルーだったら足跡を辿れるだろ?何やってるんだ。」
 そんな二人を余所に、ルーファスは尚も記憶を遡り、そして思い付いた様に手を叩いた。
「そうか!あいつ、ギルベルト家の次男だ!」
「は?ギルベルト家って…まさかあの…?」
 ルーファスの言葉に、ヴィルベルトは困惑した様子で返した。ウイツも首を傾げながらルーファスを見ている。
 ルーファスの言ったギルベルト家とは、近年没落の一途を辿る貴族である。数年前までは当主のアルグレオが王都近辺の土地を守っていたが、とある事故で命を落とし、その後に長男が当主となった。だが、この長男は体が弱く、それを補佐していたのが次男アーネストであった。
 しかし、四年前にアーネストは失踪し、それ以降アーネストを見た者はいない。アーネストの失踪後、長男は病で亡くなり、今は三男がどうにか当主を勤めてはいるものの、その衰退ぶりは目にみえる程なのである。
「だが…なんでそんな奴がこんな所へ?確か、弱いとは言っても次男は魔術師だった筈。それが何で神聖術者のファルケルなんかと…。」
 ウイツはルーファスに問った。ウイツは直接アーネストに会ったことはなかったが、噂程度ならば知っていたのである。
「分からねぇよ。ただ、当主が代わった時にギルベルト家へ師匠と呼ばれてな。それで顔を知ってたってだけだ。尤も、奴は俺のことなんざ憶えてねぇみてぇだったがな。」
 ルーファスは頭を掻きながら、さもどうでもいいと言った風に返したが、それでも相手は貴族である。衰退しているとはいえ、ギルベルト家は侯爵なのである。ルーファスと同等であり、容易くことが運べ
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