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夢幻水滸伝
第九話 関ヶ原の戦いその十

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「いいわね」
「手筈通りですね」
「そうしてね」 
 そのうえでというのだ。
「戦いに勝つわよ」
「わかりました」
「そしてここで勝った勢いで近江に攻め入る」
 今度は滝沢が言ってきた。
「そうするか」
「ええ、まさにね」
「近江が我等の手に入れば大きい」
 どう大きいのかもだ、滝沢は言った。
「都は目と鼻の先だ」
「その通りよ、都まで至ることが出来れば」
「我等の勢力も権威も大きくなる」
「そして関西との戦もね」
「かなり有利に立てるな」
「だからこそよ」
「この関ヶ原で勝つ」 
 滝沢は強い声で言った。
「この山と窪みが入り混じった場所で」
「ここは私達の世界では天下分け目の戦があったわね」
 あまりにも有名なあの合戦だ、徳川家康が天下を握り徳川幕府の長い安定した時代が築かれる最初の一歩となった。
「それはこの世界でも同じよ」
「我々が天下を握る」
「そうした戦いになるわ」
「その通りだぎゃ、ここで勝ってだぎゃ」
 坂口も言う。
「一気にだぎゃ」
「近江に攻め入り」
「都を奪い取ってぎゃ」
「関西の勢力を併呑して」
「そこから四方を攻めて統一だぎゃ」
 これが坂口の考えだった。
「神星の三人もわしの下に置いてぎゃ」
「あの方々のお力は確かに凄まじいですが」
「それだけにだぎゃな」
「はい、配下にしますと」
「それだけでとてつもなく大きいぎゃ」
「ですから」
 雅は坂口に強い声で告げた。
「この合戦勝ちましょう」
「わかったぎゃ」
 坂口の返事も強いものだった、そしてだった。
 彼等は夜に備えていた、彼等も飯は早いうちに隠れて摂っていた。だがその彼等の状況をだった。
 芥川は見ていてだ、笑って言った。
「煙が立ってるけれどな」
「飯炊く煙がな」
「あれ全部ちゃうで」
 こう中里に言うのだった。
「わかるやろ」
「ああ、うちもやしな」
 中里はここで自軍を見回した、彼等の陣地からも飯を炊く煙があちこちで上がっている。だがその煙達はというと。
「偽物やしな」
「カモフラージュのな」
「相手もっちゅうことやな」
「よお考えてあるけどや」
「あの兵の数で昼は守り固めてるだけやとか」
「かえって怪しまれるわ」
 そう読まれるというのだ。
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