暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
先輩は変な奴 担当生徒も変な奴

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 ソラール先輩が家路について1時間ほどの間、大淀さんから事務関連の仕事の説明を受けた。といっても、実際に事務仕事を担当しているのは大淀さん。俺が出張る機会というのはほぼ無い等しいらしい。実際に俺が行う必要のあるものはクローズ業務。しばらくすると、俺は一人で夜の教室を切り盛りしなければならなくなる。レジ締め、日報の記入、オーナーと大淀さんへの業務終了メール……非常勤だからかなのか、それともカルチャースクールだからなのか……実際にクローズ業務で行うことは少ない。

「さて……」

 一通り説明が終わったところで、俺が座る席の隣に立ち、日報の描き方を教えてくれていた大淀さんが、メガネをくいっと上げて、背後の壁にかけてある時計を見た。時計は午後7時5分前を指している。ソラール先輩のオリエンテーションは結構な長さだったようだ。それだけ貴重な話をたくさんしてくれたということか。アンニュイな太陽のイラストとケッタイなポーズにばかり気を取られていたけれど。

「もうしばらくしたら、来ると思いますよ?」
「新しい生徒さんですか?」
「ええ。今日は私もここにいます。困ったら遠慮せずに声をかけて下さい」
「はい。ダメな場合はそうさせてもらいます」
「大丈夫。生徒さんは明るくて接しやすい子ですから」
「お知り合いなんですか?」
「ええ」

 そうして俺が大淀さんから励ましのエールを頂いている最中、ガチャリという大げさな音が事務所内に鳴り響き、入り口のドアノブが90度回転した。どうやら、件の新しい生徒さんが来校したようだ。緊張する……。

「来たみたいですね」
「お、おぉぉおおおおお」

 緊張でつい情けない声が出てしまう俺を尻目に、無情にも入り口の重いドアが開いていく。『ゴウンゴウン』という音が似合いそうなほどに、重苦しく、もったいぶって大げさに開かれていくドア。

「ご、ゴクリ……」
「ぁあ、そうそうカシワギさん」
「は、はい?」
「生徒さんの名前ですが……せん「やせぇぇぇぇええええええええん!!!」

 唐突にドアの向こうから聞こえた、女の子の轟音のような叫び声で、大淀さんの言葉にキャンセルがかかった。

「うるさッ!?」

 つい本音が口をついて出た。思わず両耳を手でふさぐ。ドアを見ると、大きく開かれたドアの向こう側に、背の高さがちょうど俺の肩ぐらいの女の子が、フラッシュライトのような眩しい笑顔で大の字で立っていた。真っ赤なパーカーがよく似合っている。でもすんげー声デカい……なんか耳がキーンてしてるし……

「ぁあ川内さん、いらっしゃい」
「大淀さん来たよ!! 夜戦しに来たよ!!!」
「夜戦ではないですけど、お待ちしてました」

 大淀さんと知り合いらしい挨拶を交わしたその女の子は、その満面の笑顔のまま俺
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