暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
スペクタクル・クライシス
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た。鋭い口を何度も大げさに噛み、腕の鎌が効かなくてもこの牙でマリルリを食いちぎってやると言わんばかりの仕草だった。ダイバがため息をつく。ガブリアスのメガシンカは体の変質によってポケモンに大きな負荷をかけ、ストレスが大きくなる。

「ちっ……ゲンガー、サーナイト」

 一瞬、ダイバの目が最初にジェムと会ったときのように冷たくなった。その意図を察し、ジェムは思わず声を上げる。

「待ってダイバ君、それは流石に……!」
「『サイコキネシス』」

 二体の強烈な念力が怒り心頭のガブリアスを襲い、白目をむいてガブリアスは倒れた。やっとおとなしくなった自分のポケモンをダイバは戻す。
 
「言うことを聞かないからって、そこまでしなくても……」
「……どうせ、ガブリアスを倒さず怒らせて隙を作るのが狙いだったんだろ。倒そうと思えば、マリルリの一撃で倒せたはずだ」
「……っ、それは」

 図星を突かれて言葉に詰まるジェム。事実マリルリやクチートの攻撃力なら弱点を突いたうえでガブリアスを倒すことは難しくなかった。ジェムの予想では怒りに任せて暴れるガブリアスを影に他の三体を攻撃していくつもりだったのだ。ここまでの戦いで、ガブリアスがかなり怒りっぽいことはわかっていたから。

「その手に乗るくらいなら僕は勝利のためにガブリアスを犠牲にする。……勝つためだけに、僕はこいつを育ててきたんだから」

 接近戦に強いマリルリとクチート相手では分が悪いと判断したのかガルーラを戻しながらダイバは気迫のこもった声で言う。能力の高さはダイバの持つポケモン全般に言えることだが、ガブリアスは特に強力なタイプに高い機動力と攻撃力、メガシンカという選択肢の存在からポケモンバトルという勝負の中で強力なポケモンとされていることはジェムも何となく知っている。ダイバがドラコのフライゴンを低く見ていたのもそういう背景があったのだろう。

「だけど、それじゃガブリアスが……」
「可哀想、なんてつまらないことは言わないでよね。メガシンカするとすぐ熱くなって連携を乱す……そのリスクは僕もガブリアスも理解した上でやってるんだ。君にどうこう言われる筋合いなんてない」

 メガシンカとはポケモンとトレーナーとの信頼がなくては不可能だ。よってガブリアスがメガシンカしたこと自体がダイバの言葉が真実である証拠になる。ダイバの勝利への執念を思えば否定するべきではないのかもしれない。それでもジェムは言う。

「ダイバ君の考えはわかったわ。でも……本当に強くなるためにはそういう時でもポケモンと協力して戦える方がいいと思う」
「そういうセリフは僕に勝ってから言いなよ。お喋りしている間にもゲンガーとサーナイトのエネルギーは溜まっている……こっちの心配をしたこ
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