暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
シンボルを賭けたバトル!
[1/7]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「ルールは私がここで戦った時と同じ、六対六のフルバトル。ただし一度に出せるポケモンに制限はなく、好きな数を出していい……シンボルハンターさんもバトルフロンティアが用意した人ならこのルールでもいいわよね?」
「……そうだね。問題ないよ」 

 ダイバがジェムに勝負を申し込んでから二時間後。ジェム達四人はバトルフロンティアの南端にある庭園に移動していた。ジェムが闇のシンボルハンターと呼ばれる男と戦った場所だ。ダイバも彼がバトルフロンティア側の人間だとはっきり言っているため、この場所であの時のルールで戦うことはシンボルを賭けたバトルの条件に則っている。ジェムとダイバが数十メートル離れた場所で向かい合い、ドラコとアルカは巻き込まれない程度に離れたベンチで並んで見ている。
 
「……ジェム、自分のシンボルを失う覚悟はいい?」
「うん、それとダイバ君に勝つ覚悟も……どっちも出来たわ」

 ジェムは自分のシンボルを失うつもりはない、とは言わない。ダイバの実力ももちろんだが、それ以上にこの戦いには厳しいものがあると思っていた。その理由は、ドラコやアルカと相談した時の内容にある。

──ジェム、この勝負お前にとって不利な点がバトルの実力云々とは別にもう一つある。
──ポケモンバトルの実力以外のこと?
──そうだ。ジェム、お前はこの勝負絶対に負けてはいけない理由はあるか?

 勝負のルールを決めた後にドラコが聞いた。ジェムは色々考えてみるが、特に思いつかない。

──ない、わね。勿論今度は勝ちたいけど……負けてもフロンティアに挑戦できなくなるわけじゃないし、ダイバ君もひどいことは言わないと思う。負けたら悔しいけど、あなたたちやお母様だって慰めてくれる。
──そうだな。昨日のバトルタワーならいざ知らず今のお前にとって負けの一つや二つ、致命的なものではない。むしろ今後の糧に出来るだろう。だがダイバは違う。たった一つの敗北が、自身の存在意義を大きく破壊しかねない。
──バトルフロンティアに来たばかりの私と……同じなんだよね。

 ドラコと戦った時、不利に陥ったときのダイバの精神的の揺れ方はジェムも痛ましく、自分の事のように思えた。だがその背景は大きく異なるのはジェムも理解している。

──そしてあいつは以前のお前と違い、目標が明白でバトルの経験も多い。メタグロスのように、勝利のための最善手を常に考え続けられる。一言で言うなら、勝負事への覚悟が違う。
──じゃあやっぱり……勝つのは難しいかな?
──だがそれでもお前は勝ちたいのだろう?

 ジェムは頷く。バトルフロンティアに来たばかりの時は手も足も出なかったダイバに勝ちたい。実力を認めて少しずつ心を開き始めてくれた彼に……本当の意味で肩を並べて歩けると証明したい。

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ