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夢幻水滸伝
第八話 東へその十一

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「ちゃんとな」
「ほな明日朝早く起きてやな」
「すぐに動けるさかい安心してや」
「明日も日の出と一緒に飯食うて進むで」
 芥川が言ってきた。
「ええな」
「ほなそういうことで」
「綾乃ちゃんも頼むで」
 芥川はその酒を飲み続ける綾乃に応えた、見れば彼もまた枝豆を肴に酒を楽しんでいる。この夜彼等は酒を飲み続けていた。
 そして翌朝だ、中里は先陣に戻って寝ていたが日の出と共に夜番の者に起こされて寝呆け眼でその足軽に言った。
「おはよう、ほな今からやな」
「はい、飯にしましょう」
「朝飯は食わんとな」
 朝のエネルギー、それを補給しなければというのだ。
「動けんしな」
「今夜はパンですわ」
「パンもあるねんな」
「どうぞ」
 早速だ、白いパンが差し出された。細長い形のコッペパンだ。
「焼きたてやないですけど」
「そういえば少し固い感じやな」
「お茶と一緒にどうぞ」
 今度は紅茶だった。
「今日はこれが朝食です」
「日本やけどパンもあるねんな」 
 中里はそのパンを受け取ってからしみじみとして呟いた。
「こっちの世界は」
「何かとちゃうさかいな」
 鵺も言ってきた。
「食生活についても」
「そのこと実感したわ」
 パンを見て受け取ってとだ、中里は鵺に答えた。
「これでそれ何度目かわからんけど」
「自分等の本来の世界とはな」
「そやな、ほなパン食うてやな」
「朝からしっかり進むで」
「そうしよな」
 こう応えてだ、中里はそのパンを口にすることにした。確かに焼きたてではなく固いが味自体は決して悪くない。
 それでだ、紅茶も飲んで言った。
「やっぱりパンには紅茶やな」
「コーヒーもあるで」
「そっちもあるんか」
「ああ、こっちの世界はな」
「増々こっちの日本とちゃうな」
 室町や戦国のというのだ。
「ほんまに、けど美味いもんが一杯食べられるのはええ」
「そのこと自体はやな」
「ああ、それでこのパンと紅茶の後は」
「また出発するで」
「関ヶ原までやな」
「そうするさかいな」 
 こう話してだ、そしてだった。 
 一行は美濃に入りそこからさらにだった、関ヶ原を目指した。その途中で物見から次々に報告が届いた。
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