暁 〜小説投稿サイト〜
魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第16話『乱刃の華姫〜届かぬ流星への想い』
[2/18]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
るようになった――

『乱刃のフィーネ』として――

彼を、『│銀閃の勇者《シルヴレイヴ》』を斬り捨てたあの時に、『首の数を競い合う』稼業から、身を引こうと決めた――決めたはずなのに――

フィーネ。すでに己の終曲……たどり着く丘を見失ったまま、さまよう自分にこの異名はあまりにも皮肉と言える。

終曲(フィーネ)に無慈悲な女性たち。『夜』と『闇』と『死』の女神、ティ=ル=ナファが私に付きまとっているのだろうか?
結局、自分はヴィッサリオンの何を見ていたのだろう?
美しく眩しい『流星』のような彼の夢――相手の、『流星』の眩しい部分だけを見て、彼の一面を知って気になっていただけなのか?

それなら……自分は?私は?

止まり木を見つけられず、虚空にて翼ただよう『隼』の記憶は――ここで途絶える。







『乱刃の華姫〜届かぬ流星への想い』








【現代・深夜・レグニーツァ領内・山奥】









月夜の満月が見守る中、夜盗と青年が対峙していた。
その青年の名は、獅子王凱。
一人の女性をかばうように躍り出て、鋭く告げる。

「女性一人に大の男が複数だなんて、卑怯じゃないか!」
「誰だ!?てめぇは!?」「構わねえ!この男も殺っちまえ!」
飛び交うは、野盗たちの怒号の声!
幾重にも張り巡る剣閃の数々。それらが夜盗の連中が、凱一人めがけて繰り出される。

大太り傭兵の大斧が――

偉丈夫戦士の大剣が――

さらには、ニヒルな槍闘士の長槍が――

だが、それらの武骨な刃物は凱に決して当たることはなかった。

ひらり。
ひらり。
さっ。
さっ。

「なんだこいつは!?ぐは!」
「まるで……『風』みてぇだ!ごほ!」

次々と繰り出される斬撃の嵐。風のようにつかみどころのない凱の回避術に、夜盗の連中は苛立ちを募らせていった。

結局――

蹴りと拳と腕力……加えて『布にくるまった得物』だけで倒してしまった。
大地でごろんと伸びてる夜盗たちを見て、『女』は「はあぁ」とため息をついた――
一通り始末をつけた凱は、囲まれていた(であろう)女性に声をかける。

「大丈夫だったか?」
「まったく……段取りが滅茶苦茶だ」
「段取り?」
「ここの夜盗討伐を村人たちに依頼されていたんだ」
「あ……」

間の抜けた声を出して、即座に凱の頭が対応してこの状況を把握する。
速い話、凱の早とちりだった。
無理もない。GGGの基準に照らし合わせた状況の認識だ。何より、一対多数は誰であろうと見過ごすことは、凱にはできなかった。
しばらく、女性はノビた男どもを一瞥して――

「――とはいえ、無抵抗な奴の首を取るなんて、寝
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ