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第八十八話 これが両雄の初対決になるでしょうか。(その2)
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が、今はこれ以上損害を出さない事を考えなくてはならない。ウィトゲンシュティン艦隊もまた要塞に後退をする動きを示した。ただ後退するのではなく、彼女は要塞に通信を送った。この機を逃さじとワーレン艦隊が追ってくる。追うものと追われるものの立場は一瞬にして逆転した。
「クレアーナ・ヴェルクレネード准将より、通信が入っております。」
「ヴェルクレネード准将から?」
戦闘たけなわとはいえ、最も第十三艦隊の中で疎遠な士官が通信を入れてくるとは?不審に思いながらウィトゲンシュティン中将が通信を開くと、金髪をポニーテールにし、20代後半の冷徹な青い瞳を持った女性士官が出た。
「閣下、小官が殿を・・・時間稼ぎを務めます。その隙に艦隊を再編成し、要塞と連携を取って反撃に移っていただきたい。」
言い出された言葉はウィトゲンシュティン中将が予期しないものだった。数秒間言葉を失った後、自分を取り戻した彼女は司令官らしい冷徹な表情を作り直して答えた。
「わずか数百隻では焼け石に水だわ。許可はしない。あなたの隊はこの(ウィトゲンシュティン中将はディスプレイ上にある地点を表示させた)地点に展開し、本隊と連携を取って敵を防ぎとめながら――。」
「それでは全滅しますよ。」
にべもない返答に艦橋要員全員が固まる。
「正面展開している敵の総数だけで3万隻です。今かろうじて第十六艦隊、第十七艦隊の奮闘があってこそ各戦線が独立して戦えているのです。ここで第十三艦隊が壊滅すれば、その余波は確実に他の二艦隊に向かいます。閣下、犠牲は少数の方がいいでしょう。それに・・・・。」
ヴェルクレネード准将の口元に皮肉な、それでいてどこか寂し気な笑みが現れた。
「あなたの第十三艦隊は『大切な家』なのでしょう?その家長が戦死してしまったら、誰が家を守るのですか?」
ヴェルクレネード准将は帝国からの亡命者ぞろいの第十三艦隊の中で珍しく生粋の自由惑星同盟軍人であった。しかもその先祖はあのアーレ・ハイネセンの長征に加わった16万人の中にいるという、いわば自由惑星同盟の建国の名門の家柄であった。だからこそなのか、普段の第十三艦隊の面々とあまり親しく交わろうとしなかったし、どこか距離を置いて一線を画している態度を取り続けていた。
その彼女が体を張って退路を守るという。そのことに帝国からの亡命者たちはどう言葉を返してよいかわからなかった。
「何故――?」
「何故も何も・・・・。」
彼女は一瞬怒りに似た表情を浮かべたが、すぐに無表情に戻った。
「すぐに後退してください。敵は待ってはくれません。」
ウィトゲンシュティン中将は息を吐き出した。ぐっと背を伸ばし、司令官としての威厳を全身に表す。
「ヴェルクレネード准将。許可します。あなたは可能な限り艦隊乗員を生きて要塞に帰還させなさい。もちろんあなた自身
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