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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第八十八話 これが両雄の初対決になるでしょうか。(その2)
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砲撃がウィトゲンシュティン艦隊を削り取り、完全な包囲体形が成立した。
「下方より別働部隊!!」
という悲鳴のような声が旗艦サラマンドルの艦橋にこだましたのは、その直後だった。ワーレンが身動きするよりも早く、急速に上昇した別働部隊がワーレン艦隊の左翼を襲う。シュタインメッツ艦隊の別働部隊である。
「慌てるな。敵は少数だ。左翼は後退し敵を通してやれ。」
ちぎれ飛ぼうとした左翼艦隊はかろうじて後退し、戦線を縮小して傷口をふさぎにかかる。ディスプレイ上では左翼艦隊を突破した敵の別働部隊、シュタインメッツ艦隊が天頂方向に真っ直ぐ貫くように上りつつある。ワーレンの鋭い瞳はこの瞬間を見逃さなかった。
「撃てェッ!!」
ワーレンは戦線参加をしていない後方部隊にシュタインメッツ艦隊の後尾を襲うように指令した。それと同時にミッターマイヤー艦隊が前進して第十三艦隊の側面を痛打した。このあたりは通信がなくとも僚友どうし呼吸が合うと言ったところであろう。ミッターマイヤー艦隊は驚くべき速度と機動性をもってウィトゲンシュティン艦隊右翼を半包囲下におき、激烈な攻撃を加えてきたのである。
「戦艦カサンドラ撃沈!戦艦インディペンデンス大破!」
たちまちのうちにウィトゲンシュティン艦隊旗艦ダンケルクには各戦隊旗艦級の撃沈、大破の知らせが相次いだ。
「戦艦オクシアーナ撃沈!シュダイ准将、戦死!戦艦シュメルケ撃沈!エーマル准将、戦死!!」
悲しみに浸る暇もなく、立て続けに震動が来た。今や旗艦ですらも敵の砲火にさらされて中和磁場が悲鳴を上げている。絶え間なく虹のような光が走っているのはそれだけ中和磁場が働いている証拠だ。
「ミサイル艦隊の展開は・・・終わった!?」
ウィトゲンシュティン中将が震動する旗艦のデスクにしがみつきながら、切れ切れに叫んだ。
「展開・・・完了しましたッ!!」
アルフレートが味方の通信信号をかろうじて読み取って叫び返す。
「敵の包囲艦隊に向けて・・・・ミサイル斉射!!」
ウィトゲンシュティン艦隊の後方下方よりミサイル艦隊が素点を固定し、一斉にミサイルを打ち上げる。ミサイル艦隊の速度と機動性は巡航艦隊には及ばないが、使い方次第では敵に致命的な打撃を与えることができる。シャワーのように噴出されるミサイルはミッターマイヤー艦隊に集中した。迎撃ミサイルをもってしても撃ち落とせないほどの物量を食らい、ミッターマイヤー艦隊は後退せざるを得なかった。
「全艦隊、後退・・!!」
ウィトゲンシュティン中将が指令する。その声には隠そうとしても隠し切れないほどの悲痛さがにじみ出ていた。賭けは失敗に終わったのだ。混戦状態構築に唯一の望みをかけて突撃をした結果、麾下の支隊を失い、あるいは損害を受けた。これは取り返しのつかないことであり、悔やんでも悔やみきれないことである
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