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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
外伝『魔弾と聖剣〜竜具を介して心に問う』―中章
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を『暗雲ごと討ち払う』為に――
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◇◇◇◇◇
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ルヴーシュ船団へたどりついたヴィッサリオンの行動は迅速だった。
まず処分すべきは『音よりも速い砲弾』だ。
『螺旋』の軌道を描く砲弾に取り乱すことなく、ヴィッサリオンは『聖剣』たるカタナを抜き放つ。
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――狙いをすまし、『心』を『(はやて)』に――
――紅い鉛玉の『重心』と、かの剣の『芯鉄』が一直線になる様を思い描く――
――納鞘と刀身をそろえて、『星』を奔らせる!――
――手首の返し具合――
――刃の食い込み――
――『鉄球』とも思えぬ、果肉のような感触――
――ぴしゃりだ――
――想定を現実にして、鉄塊たる『逆星』は真っ二つに分かたれた――
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その芸術的な超常現象に対し、表情を驚愕に染める者がいた。
雷禍の閃姫だ。
そして、その戦姫を取り巻いていた武官たちも同様だった。
二つに分かたれた鉄の塊は、虚空に消え入り激しい水柱を浮き上げる。船を覆いつくすばかりの瀑布が生まれた。
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「斬……鉄?」
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雷禍の閃姫・鞭の舞姫と称されるルヴーシュの主は、我が目を疑った。驚いたのは、鉄を斬ったことではない。鉄を斬った『なにか』に対してだ――
ヴァリツァイフもまた、鞭という形状にそぐわず竜の牙に比すべき強度、砕禍に恥じることのない力を秘めている。無論、鉄塊の砲弾を文字通り『粉砕』することができる。だが――
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『人の手で造られた』と思われるヤーファのカタナで、竜具と同等のことをやってのけた。
斬鉄……文字通り、鉄を両断する『居合の極み』にして、尋常でない速度の『抜刀』と『斬撃』の複合技。
すちゃり。
カタナの鍔なる音が、その場にいた全員の意識を現実に戻し、一人の男に視線を注いだ。『黒髪の男』にだ。
その姿は青年だった。
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「貴女が、ルヴーシュの戦姫様ですね。間に合って、よかったです」
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鉄を切り裂いて驚愕していた周囲を他所に、ヴィッサリオンは口元に薄く笑みを浮かべる。『鉄』を切り裂いた『カタナ』を見せつけるかのように――
崇高(すうこう)。その意志を体現せし刃形の『反り』
美事(みごと)。その一言に尽きる刃面の『霞立(かすみだち)
波打つ刃紋が、天の光を一寸の漏れさえも許さない。
禍を払う。それのみを追求した気高い『得物(カタナ)』。
本来なら人間が『人ならざる者』を封印するために作られた聖剣の模造品(イミテーション)
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「……竜具以外で『鉄』を斬れる『剣』があるなんて……」
「驚かれましたか?雷禍の閃姫(イースグリーフ)様」
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心を読まれたかのような顔で、戦姫は青年を見やる。そしてヴィッサリオンは戦姫を気遣うように声をかけた。
だが、状況はいまだ二人に沈黙を許
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