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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
外伝『魔弾と聖剣〜竜具を介して心に問う』―中章
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前にしても、場数だけはしっかりと踏みしめている戦姫だった。
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――こうして、望む航行速度に至るまで、黒船甲板では敵味方入り乱れる混戦状態となった――
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『同時刻・黒船・最深部・発令区画部』
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一方、黒船の最深部では、甲板たる『陸』の様子を見つめるものがいた。『人』と『魔』である。
正確には、オルシーナに住み着いている海賊たる人と、昔話に例えられる『老婆』と『白鬼』なのだが――この両者は今『魔』の正体を隠して、文字通り『人』の皮を被っている。
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「ど!どうするんでい!?親方!こんな鉄の塊が切り札だったんじゃないのか!」
「このままでは『竜の心臓―シレジア』へ着く前にまいっちまいやすぜ!」
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まだ戦力的にはこちらが有利のはずだ。だが、所詮は海賊。戦闘はこなせても、戦術まで見据えるには至っていない。優勢という頂点に浸かっていた気分が、一気に瓦解している今では冷静に務めることさえできない。
監視設備(モニター)』と呼ばれる、遠隔映像を映し出す箱の様子を見つめて、『人』は狼狽するばかりだ。
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(やはり侮れん国だよ、ジスタートは。『――――』がむきになるのもわかる)
(今頃ハウスマンはテナルディエの旦那と『交渉』しているころだし、向こうでも『実演』が始まってるとおもうて)※10
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この兵力差をして、策を用いて持ちこたえられるとは。『レスター』は感心してしまう。
領海ギリギリで黒船を引き付けておいて、おそらくは二次災害の及ばないところで黒船の存在を『始末』するつもりだろう。監視設備越しでもわかるように、戦姫はよく『機械文明』を相手にして、なかなかの戦闘を繰り広げているようだ。
『人ならざる者』たちは、言葉を発することなく、意識通話のみでことを済ませる。こうすることで、言葉による対話より、確実かつ迅速に意思疎通ができるからだ。
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「や……やっぱり切札は他にあるんじゃあ……レスターの旦那!」
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レスターと呼ばれた禿頭の男は、厳かに告げた。
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「……切札ならある」
「な!なんでい!?レスターの旦那!早く教えてくれ!」
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――それは、お前の『心臓』が知っている――
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