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神風と流星
Chapter2:龍の帰還
Data.32 End of Act
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なクソッタレ」

 憎悪に染まった瞳を向けてくる道化竜を負けじと睨み返す。

 一度冷静になったせいか、俺の中でふつふつと怒りが沸いてくる。たかがイベントMobの分際で、コイツは――――

「――――俺の相棒(シズク)に手ェ出したんだ。あっさり殺してもらえると思うなよトカゲ如きが……ッ!」

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!!」

 俺の挑発に呼応するかのように雄叫びを上げる道化竜。どうやらあっちもデカいダメージを受けて相当怒っているらしい。

 見れば道化竜のHPバーの最後の一本は既に二割ほど減っていた。強いだろうとは思っていたがまさかここまでとは。酒を奢った程度でこの情報を教えてくれたアルゴには後でちゃんと礼を言っておこう。

 少しでも身軽になっておくためにナイフが尽きたポーチを背後に投げ捨て、すぐに動き出せるように構える。

 しかしここまで強がってみたはいいものの、この勝負、俺の勝てる確率は限りなく低い。生存率ですら10%にも満たないだろう。

 それはひとえに――――

「……ッ!」

 ふと、俺の視界から道化竜が消えた。

 その事実を脳が認識するより先に、俺はあらん限りの力で地面を蹴りだし横に大きく跳ぶ。

 一瞬前まで自分がいた空間が道化竜によって喰いちぎられるのを見届け、体勢を整えようとした。が、相手の方がやや上手だったらしい。着地した瞬間に尻尾でなぎ払われ吹き飛ばされる。全身の骨が砕け散るような激痛に意識が飛びそうになるのを必死にこらえ、急速に変わっていく景色をバックに自らのHPを確認する。視界の端で急速に減少していくHP。勢いを見るに半分ほどはもっていかれそうだ。

(即死じゃないだけマシだな……)

 とはいえたった一撃で半分である。こっちは七本で二割だというのに。流石にフロアボス級と一プレイヤーでは基本ステータスに差があり過ぎる。

 そしてなにより、あの転移能力が厄介だ。

(連発してこないってことは冷却時間(クールタイム)はあるんだろうが、それにしたって反則だろオイ……!)

 任意のタイミングで自分の位置をコントロールできるというのは、戦闘においてそれだけで絶大なアドバンテージになる。攻撃も回避も自由度が遥かに増すからだ。

 それに加えて相手には――――

「クソッ!やっぱそっちもまだ使えるよな!」

 ようやく呼吸が落ち着いてきたと思った辺りで、道化竜の口から赤と黒の炎が放たれる。たとえ万全の状態であっても危ないというのに、HPが半分しかない状態であんなものを喰らったら確実にアウトだろう。

 迎撃は出来なくもないがこの距離でやってもダメージはさほど変わらないだろう。なら――――

「だらっしゃあ
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