神風と流星
Chapter2:龍の帰還
Date.33 エンドロール
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道化竜の巨体が無数の破片となり、虚空に消えたあとも数十秒もの間、俺たちは誰一人として動くことが出来なかった。
激戦による昂揚や疲労、そして何より『まだ終わってはいないのではないか』という漠然とした不安。時間がゆっくりと流れているように感じ、ある種独特の雰囲気が場を支配する中で。
「おっ、なんかレアドロっぽいアイテム落ちてる!LAボーナスもあるしウマウマだね!」
空気の読めない馬鹿が一人で騒ぎ出した。
「お前少しは緊張感とか持てよ……」
「はにゃ?わけわかんないこと言ってないでルリくんも戦利品チェックしなよ〜」
「いいもんあってもタダじゃやらんからな……おい、クラインたちも見てみろよ。流石レイドボス級、なかなかのものを落としてくれたみたいだぜ」
俺の一言でようやく『終わった』実感を持てたのか、クラインのパーティもウインドウを見つめ、レアなドロップ品を見つけて喜んだり、何に使うのかよくわからないものに首をひねったり、それを仲間と共有して騒がしくなる。
そんな中、レア強化素材をねだるシズクを適当にあしらっていた俺の元にクラインが近づいてくる。
「お疲れさん、ルリ」
「そっちこそお疲れ様。お前がいなかったら負けてたよ」
「そうかあ?お前たち二人でも案外なんとかなったと思うんだけどな」
「いや、お前がいなかったら、きっとシズクは死んでいた。だから、ありがとう」
そう、あのときクラインが道化竜をスタンさせていなければ、シズクは残りわずかだった命を吹き飛ばされ、俺も死んでいただろう。あの一太刀のお陰で、俺たちは生きている。
「私からもありがとう、だね」
俺とシズクから感謝の言葉を掛けられたクラインはしばらく呆然としていたが、やがて一瞬顔を下に向け、次に頭を上げたときにはいつもの人好きのする笑顔を浮かべていた。
「まあ俺様に掛かればざっとこんなもんってことよ!さって、これからの方針にも関わるし俺もあいつらに混ざってくるか!」
そう言ってくるりと踵を返し、仲間の方へ歩いていったクライン。
その目の端にわずかに光るものが見えたのは、言わぬが華というやつだろう。
そんなこんなで戦後処理を終えた俺たちはとりあえずこんないつ危険が振ってくるかもわからない場所をとっとと出ることにした。
幸い道化竜を倒した時点で前回のクエストのときに通ってきた道の封鎖は解かれたらしく、道中も何事もなくクエストをくれるじいさんがいる小屋の前まで戻ってこれた。
「さて、じゃあ俺たちはこれから主街区まで行って二層に戻るが、クラインたちはどうする?」
「あの穴に落ちる前に何度か戦ったんだが、二層の敵はまだ俺達にゃちっとキツイ。メンバーも結
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