暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜紺色と藍色の追復曲〜
此の時彼の場所で
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「………………うん」

「理解しろとは言わねぇよ。けど、知っておいてほしい。俺に《日常(そこ)》は、眩しすぎる」

一言一言、噛み潰すような言葉。

だがその口調とは裏腹に、相馬の顔は穏やかなものだった。爽やか、とまでは行かないが、それでも苦悩に満ちている風ではない。

―――あぁ、そっか。

その横顔を盗み見ながら、ふと木綿季は思った。思ってしまった。

自分と眼前の男。二人の間に刻まれた、絶望的なまでの断崖を。

誰も渡ることのできない、隔絶を。

―――ソウ君はもう、ボク達の日常そのものを信じたくないんだ。

もはやここは、誰にも埋めることはできない。唯一、埋める可能性を持つ人間は、今は眼前の墓の下だ。

仮にここを無理に渡ろうとしても、相馬はそれを拒絶するだろう。

それほどまでに、小日向相馬という人間の意思は硬い。

一瞬瞑目し、木綿季は万の葛藤をせき止め、代わりにボロボロの言葉を吐き出す。

「そのこと、蓮には……?」

「あー」

がしがしと後頭部を掻きながら、相馬は気まずげに目を逸らした。

「ソウ君?」

「あーうー、……言ってねぇ」

「………もー、そんなことだと思った。昔からそうだよね、ソウ君は。いつだって自分ひとりで分かったような顔しててさ」

腰に手を当て、兄のような従兄を怒る様は、本来ならば自分の役割ではない、と木綿季は脳裏の端で思う。

本来ならば、この位置には姉である紺野藍子がいたはずだ。

あの姉は、年の差など考慮しない。いつだって常識というものを知っていて、厳しく、そして優しく教えてくれた。

それは相馬だって例外ではない。

さすがに、悪ガキもどきだった幼い木綿季や蓮ほどではないが、彼だとて藍子に叱られたこともあるはずだ。少なくともそういう記憶がある。

「えーと、何だっけ?タイムマシン作ろうとして姉ちゃんのCDプレイヤー分解しようとしたんだっけ?」

確かあの時は、藍子のお気に入りのCDプレイヤーだったことも相まって烈火の如く怒られていたような気がする。というか、日曜大工にでも使いそうな大道具を持って突撃しようとしていた相馬も相馬なのだが。

そう思い、木綿季は笑いながら相馬のほうを見ると――――

ぎょっとした。

相馬は墓前に佇んだまま、刃の切っ先のような鋭い視線を木綿季に向けていた。

「な、なに?」

単に、憤怒や憎悪といったものではない。あの城でそういった人間の昏い部分に、少なからず触れた経験のある木綿季には分かる。

その眼は、そういったモノは含まれていなかった。

少年にも青年にも見える男は、ただ純粋に――――驚いていた。

具体的なリアクションを取るより先に、逆に
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