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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ヨツンヘイム
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見上げると、薄闇の彼方に煌めくいくつもの光があった。

星ではない。広大な天蓋(てんがい)から垂れ下がる無数の氷柱が、内部から仄かな燐光(りんこう)を発しているのだ。つまり現在地は洞窟の底ということになるが、問題はその規模だった。

遥か彼方に屹立(きつりつ)する壁から壁までの距離は、リアル単位置換でおそらく30キロを下るまい。天蓋(てんがい)までの高さも最低で500メートル。底には無数の断崖(だんがい)峡谷(きょうこく)が刻まれ、白く凍りついた湖やら雪山、更には砦や城といった建造物まで散見できる。

こうなると、洞窟などという規模では到底(とうてい)ない。地下空間、いやもはや《地底世界》と呼ぶべきだ。

実際、それそのものなのだ。ここは妖精の国アルヴヘイムの地下に広がるもう1つのフィールド、恐るべき邪神級モンスターが支配する闇と氷の世界。その名も__

《ヨツンヘイム》。











「ぶえーっくしょん!」

という、女の子にあるまじきパワフルなくしゃみを炸裂させてから、シルフ族の少女剣士リーファは慌てて両手で口を押さえた。

素早く(ほこら)の出入り口を見やる。今のを聞きつけたはぐれ邪神のバカでかい顔がぬっと現れるのではないかと想像したが、幸い入り込んでくるのはひらひら舞う雪片(せっぺん)だけだった。それらも祠の床に(おこ)した小さな焚き火に近づくや、ふっと空気に溶けて消える。

厚手のマントの襟元をかき合わせながら、奥の壁際まで戻ってじゃがみ込む。ふう、とため息を1つ。ちろちろ燃える炎の暖かさを感じた途端に忍び寄ってくる眠気を、何度か瞬きして払い落とす。

石造りの祠は、縦横高さが4メートルほどの小さなものだ。壁や天井はおどろおどろしい怪物のリレーフで飾られ、それらが揺れる炎に照らされて小さく身じろぎする様を、とても心安らぐインテリアとは言い難い。しかし隣を見ると、背中を壁に預けてあぐらをかいたリーファの同行者の2人の内1人、同行者1号キリトは、実に穏やかな__あるいは間の抜けた顔でこっくりこっくりと船を漕いでいる。

「さっさと起きろ」

もう1人の同行者2号__ネザーが小声で言いながら尖った耳を引っ張るが、相手はむにゃむにゃ言うだけだ。その膝の上では、小さな妖精が丸くなってくうくう寝息を立てている。

「おい、寝ると(ログアウト)ちるぞ」

もう一度耳を引っ張る。するとキリトはそのままこてんと太股の上に頭を転がしそうになるが、頭が付着する寸前にネザーは足を動かし、膝を上に上げてキリトの頭を直撃した。

ヴォクシッ、というような爽快な効果音と共に肉弾攻撃特有の黄色いエフェクトフラッシュが閃き、キリトが奇妙な声と共に飛び起きた。両手で頭を押さえてキョロキョ
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