暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
フェアリィ・ダンス
再会
[1/13]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
鳥の(さえず)り、暑いくらいの眩しい太陽、青い空に白い雲。一瞬ここをアインクラッドだと思った。

__だが違う。

ベットの上に腰掛け瞼を閉じていたが、何かに呼ばれるように眼を見開いた。

《オーシャン・タートル》の病室ではなく、細かい板材を張り合わせた壁が視界に映る。ベッドもジェル素材ではなく錦シーツを被せたマットレス。

ここは俺の__《スレイド・ハント》の、中央区隅田川付近に()ける邸宅の自室。

ベッドから腰を上げ、くるりと周囲を見回す。八畳の部屋には、天然木のフローリング。あらゆる本が並べられたウォールラック。南側の窓付近に置かれたローズマリーの咲く植木鉢。パソコンデスクの上に配置された最新、そして一般人が持てないような高性能デスクトップコンピューターが3台と、それらに繋がったモニターが5台壁に掛けられていた。

ウォールラック中段には、古ぼけた濃紺のマシンが置かれている。《ナーブギア》という、俺を2年もの間仮想世界へと縛り付けたフルダイブ型VRインターフェース。長く苦しい戦いの末、俺はあのマシンから解放され、今はこうして現実世界を見、触り、感じている。

そして__デスクの上に飾られた2枚の写真。

そう、俺は還ってきた。

しかし__俺は満足感に浸れなかった。仮想でも現実でも影の敵と戦い、両親を殺した《黒いスピードスター》を追い続け、気づけば10年も経過している。

2025年1月19日、日曜日。午前7時15分。

現実世界に戻ってすでに2ヶ月が経ったが、未だに親の仇を見つけられないまま。そして充分なほど世界に馴染めていないことに困惑していた。SAOにかつて存在した剣士ネザーと現実のスレイドは、同じ容姿でも、まったくの別人なのかもしれない。

「……どこにいるんだ?」

SAOにいる間はあまり考えないようにしていたが、俺は今も黒いスピードスターを探し続けている。

「一体……どこに……?」

呟いて、部屋の南側にある大きな窓に歩み寄り、両手でカーテンを開け放つと、冬の朝の控え目な陽光が部屋中を薄い黄色に染め上げた。











2年ぶりの現実世界。

あの血塗られたバトルディザイアーに、自分と晶彦が携わったSAO世界を通じた経験は未だ頭から離れない。日常からあまりに掛け離れた生活に何年も浸っていれば、懐かしくも思える。そんな気を紛らわそうと俺はランニングシャツに着替え、家のガレージに向かう。

金属製のドアを開け、10台の車を格納できるほど広いガレージに足を踏み入れた。

普段からよく使用していた馴染みのバイク《BMW・R1200GS》と、ドリームカー《BMW・i8》。両方とも俺の故郷であるドイツ製。

黒色系統のスモークガラスで
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ