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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
第75層の驚異
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、他人を気を配ったりなどしない」

ヒースクリフはかすかな笑みを浮かべた。

「別にそれで構わんよ。困難に立ち向かおうとする君の勇気は大いに評価する。それに君は強い。攻略開始は3時間後。予定人数は君を含めて33人。75層《コリニア》市ゲートに午後1時集合だ。君の勇戦を期待しているよ、ネザー君」

そう言われ、俺は後ろの扉へと歩き出し会議室を出て行った。

大いに買い被られているようだが、俺のヒースクリフに対する疑惑は、まだ消えていなかった。





そして、3時間が過ぎた今、75層《コリニア》のゲート広場には既に攻略チームと思しき、一見してハイレベルとわかるプレイヤー達が集結していた。俺がゲートから出て歩み寄っていくと、皆ピタリと口を閉ざし、緊張した表情を向けてきた。中には右手でギルド式の敬礼(けいれい)をしている連中までいた。

これほど大勢から注目が集まるのは実に久しぶりだった。

「よう!」

景気よく肩を叩かれて振り返ると、そこには悪趣味なバンダナを付けた刀使い《クライン》の姿があった。ニヤニヤと笑うクラインの隣には、両手斧を武装した《エギル》の巨体もあった。

「久しぶりだな、ネザー!」

景気がよいのは出会った頃と変わらないクラインと最後に会ったのは、74層のボス《グリーム・アイズ》を倒して以来だった。

当然キリトとアスナもいるのかと思い、首を左右に回した。

「誰かお探しかな?」

不意に後ろから声が聞こえた。

振り向くと、22層で新婚生活を送っていた2人の姿が眼に入った。

キリトとアスナとクラインの3人が参加するのは当たり前だが、商売に溶け込んでいるエギルがボス攻略に参加するのは以外だった。

俺はエギルに視線を合わせ、言った。

「……なんでお前も参加するんだ?」

「なんでってことはないだろう!」

憤慨(ふんがい)したようにエギルが野太い声を出した。

「今回はえらい苦戦しそうだって言うから、商売を投げ出して加勢に来たんじゃねえか。この無私(むし)無欲(むよく)の精神を理解できないとはなぁ」

「もとよりお前のことなんか理解してない」

大げさな見振りで言う俺の肩を、キリトがポンと叩いた。

「まあまあ、お前の気持ちは一応わかった。エギルは戦利品の分配から除外すればいいさ」

そう言った途端にエギルはツルツルの坊主頭に手をやり、眉を八の字に寄せた。

「いや、そ、それはだなぁ……」

情けなく口籠もるその語尾に、俺とエギル以外の3人の(ほが)らかな笑い声が重なった。笑いは集まったプレイヤー達にも伝染し、皆の緊張が徐々に(ほぐ)れていくようだった。

__その時。

午後1時丁度に、転移ゲートから新たな数名が
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