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風魔の小次郎 風魔血風録
146部分:第十三話 暖かい風その五
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第十三話 暖かい風その五

「この黄金剣は俺とシンクロするようだな」
「何っ、波長が合うっていうのかよ」
「そうだ」
 小次郎に対して答える。今は中段になっている。
「どうやらな。これならば勝てる」
「くっ、聖剣の力は互角な筈」
 これは小次郎も実感していることだった。
「だが。何故だ、これだけプレッシャーを感じるんだ」
「何か勘違いしているようだな」
 武蔵はその小次郎に対して言う。
「聖剣の力は互角であろうとも所有している者の力は違う」
「何ィ!?」
「確かに貴様は強くなった」
 小次郎の実力は彼が最もわかっていることだった。
「しかしだ。この武蔵に勝てはしない」
「うるせえ!やってやらあ!」
「この一撃で決める」
 黄金剣の力を感じながら小次郎にまた告げる。
「行くぞ、貫く!」
「叩き斬ってやらあっ!」
 また激突しようとする。両者の闘きが頂点に達した。だがその時だった。
「お兄ちゃん、小次郎」
「何っ!?」
「この声は」
 少女の声だった。二人はその声を聞いて咄嗟に動きを止めた。
「ここにいたんだ。少し探したよ」
「馬鹿な」
 声は二人にだけ聞こえていたものではなかった。夜叉姫達も姫子達も聞いていたのであった。彼女達はその声を聞いて我が耳を疑った。
「これは女の子の声」
「どうしてここで」
 姫子も蘭子も不可思議な顔になる。しかしここで小次郎と武蔵の前に一人の少女が姿を現わしたのであった。パジャマを着た黒髪の少女だ。
「え、絵里奈」
「何故ここに」
「まずは戦いを止めて」
 絵里奈はまずはこう二人に告げたのであった。
「私の話聞いて欲しいんだけれど」
「あ、ああ」
「何だ絵里奈」
「小次郎、まずは御免ね」
 最初に小次郎に謝るのだった。
「メールの返信だいぶ溜まってるよね」
「何っ、メールだと」
 武蔵は今の言葉であることを察した。
「では小次郎、御前が絵里奈のかけがえのないという友達だったのか」
「武蔵」
 そして小次郎もわかったことがあった。
「手前が絵里奈の最も大切なお兄ちゃんだったのか」
「できれば三人揃って会いたかったんだけれどね」
「今会ってるじゃねえか」
「それでどうしてそんなことを言うんだ」
「だって。お別れを言いに来たから」
 こう二人に対して言うのだった。
「だから。ここに来たんだよ」
「何っ、お別れ!?」
「絵里奈、まさか」
「だからそのまさかなんだって」
 また兄に対して述べるのだった。
「お兄ちゃん、御免ね」
「御免!?」
「私、もう駄目なんだ」
 兄に告げたのだった。
「病気が重くなったから。もう」
「そんな筈がない」 
 そのことは彼が最もよくわかっていた。しかしそれだけは必死で否定したか
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